徒然なるまま

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観劇楽しみ!『天保十二年のシェイクスピア』予習用ページ

東宝ミュージカル『天保十二年のシェイクスピア』を近々観劇予定です。

とっても楽しみ!なのだけど、シェイクスピア作品を基にしているということで予備知識があったほうが楽しめるかな~でも膨大だし予習大変だな~と思っていたところ…

東宝演劇部の公式Xアカウントさん(@toho_stage)がとってもためになるポストをしてくれていた!

その名も、不定期連載「シェイクスピアはノースペア」。

まだ序盤しか読んでいないけど、シェイクスピア作品の解説と過去の公演のエピソードを簡潔にまとめてくれていてとても助かる。

私が当日会場に向かう電車の中で一気読みするためだけに埋め込みで1ページにまとめてみました。

需要あるかどうかはわからないけど、一応公開にしておく。

 

第1弾『ハムレット

 父を毒殺され母を后に迎えた叔父への復讐、己の性格に耐えきれず恋人を狂い死にさせ、恋人の兄が妹の仇をとる決闘の中、毒の剣で刺し違え命落とす「人生苦行」の王子、ハムレット
 大貫勇輔さん演じるきじるしの王次、阿部 裕さんの蝮の九郎治、綾 凰華さんのお冬に重なります。
 この惨劇はミュージカル化され、「プリンス」井上芳雄さんで上演されました。
 帝劇に大階段セット組み、劇中劇を人間ひな祭りに見立てた1978年の蜷川幸雄版は今も語り継がれています!

 

第2弾『オセロー』

<あらすじ>
 キプロス島総督に任命された将軍オセロー。
 妻デズデモーナを連れて任地に赴くが、自身の待遇に不満を抱く部下イアーゴーがデズデモーナの不義をでっち上げ、騙されたオセローは嫉妬のあまり彼女を殺してしまう。
 全てが陰謀だったと知ったオセローは、妻の後を追い、自らの命を絶つことにー

 今もなお世界中で上演される代表作の一つである本作。
 みなさん一度は遊んだ事がある”あのボードゲーム”の名前の由来ともなった作品です⚫️⚪️

 天保十二年のシェイクスピアでは、
 尾瀬の幕兵衞(オセロー)
 佐渡の三世次(イアーゴー)
 お里(デズデモーナ)
などの登場人物に要素が盛り込まれています💡

 

第3弾『リア王

 ブリテンリア王は退位し、国の領土を三人の娘ゴネリル、リーガン、コーディリアに分け与えることに。王を一番慕うコーディリアはお世辞が言えず怒りを買い、王に勘当される。しかし、領土を譲り受けた姉二人は父を疎んじ追放する。荒野を彷徨うリア王は、フランス王に迎えられたコーディリアと再会する…。

 『天保十二年のシェイクスピア』では、鰤の十兵衛(ブリテン王)、お文(ゴネリル)、お里(リーガン)、お光(コーディリア)のモデル。物語冒頭がまさにそのオマージュです。
 十兵衛「こう出りゃそう出たか。ありゃりゃりゃりゃだなぁ」は、遊び心満載の台詞!

 

第4弾『マクベス

 荒野の魔女達から唆され王になる野望を抱く将軍マクベス。妻と共に現王を暗殺して王位を奪うが、その地位を守るため悪行を重ねやがて破滅の道を辿ることにー

 四大悲劇の中で最も短く、最後に書かれた本作品。黒澤明監督の『蜘蛛巣城』はこの作品の戦国時代版。蜷川幸雄さんも『NINAGAWA・マクベス』で欧州デビューを果たし、“世界のニナガワ”と称されるきっかけとなりました。

 『天保十二年のシェイクスピア』では幕兵衞(マクベス)や老婆(魔女)といった登場人物への関わりはもちろん、名台詞『きれいは汚い、汚いはきれい』が印象的な歌詞の一部にもなっています。

 

第5弾『ロミオとジュリエット

 イタリア・ヴェローナの代々対立関係にあるモンタギュー家の息子ロミオとキャピュレット家の令嬢ジュリエットは舞踏会で出逢い、一目で恋に落ち激しく惹かれあう。

 両家の長年の確執と反対の中で秘密の結婚式を挙げるが、不幸な誤解と運命の悪戯が、2人を悲劇にむかわせてしまう・・・。

 東宝作品を初演出した蜷川幸雄版は1974年に日生劇場、1979年に帝劇で上演され、今も世界中で上演される不朽の名作。

 『天保十二年のシェイクスピア』では、互いの家が敵対関係となるきじるしの王次とお光、すれ違いの悲恋となる佐吉と浮舟太夫に、ロミオとジュリエットが投影されています。

 

第6弾『夏の夜の夢』

 アテネが舞台の恋愛喜劇。貴族の娘ハーミアとライサンダー、ディミートリアスの三角関係に幼馴染のヘレナも加わりそれぞれ想いがすれ違う。妖精の王オーベロンは妖精パックに“魔法の惚れ薬”を使って落着させようとするが、オーベロンの妻ティターニアと町の職人たちも交わり、更にこんがらがってしまう恋愛模様…果たして恋の結末は⁈

 敵同士が恋に落ちる“惚れ薬”は天保〜本編にも登場しますが、その役割を担うのは清滝の老婆(梅沢昌代)!この妖精パックは漫画「ガラスの仮面」では主人公マヤが演じて大活躍!どれも本当に楽しい作品です。

 

第7弾『ヴェニスの商人

 "富豪の娘ポーシャに求婚するための資金援助"を友人のバサーニオから頼まれたヴェニスの商人アントーニオは、「期限までに返済できなければ肉1ポンドを切り取る」という条件で高利貸しシャイロックから借金をする。

 バサーニオとポーシャはめでたく結ばれるが、アントーニオが全財産を投資していた船が難破し、シャイロックから訴えられ窮地に。

 しかし、法学者に扮したポーシャが法廷で機転を利かせ、アントーニオを救い出す。

 元々喜劇として書かれた作品ですが、シャイロックユダヤ人として民族迫害を受けていることを背景に、今では彼を主人公とした悲劇として上演されることも少なくありません。

 『天保十二年のシェイクスピア』では、取り上げられるのは本当に”一瞬だけ”

 お聞き逃しのないよう🤫

 

第8弾『十二夜

 嵐の船難破で双子兄妹が生き別れ、妹(ヴィオラ)は男装し公爵に小姓として仕える。
 公爵は伯爵令嬢に求婚中、いつしか公爵に恋心を抱くヴィオラは恋の手助けで伯爵令嬢の下へ。
 すると伯爵令嬢は男装とは知らずヴィオラに一目惚れ。そこへ生き別れたはずの兄が登場し・・・
 恋の行方は意外な方向へ。
 魅力的なキャラクターたちの人間模様に恋愛や悪戯が加わり、ドタバタお祭り騒ぎが繰り広げられる、シェイクスピア喜劇の最高傑作。

 東宝では大地真央主演で野田秀樹演出版と、オリジナルミュージカル版として上演されました。
 天保~本編では、意外な場面で登場します。
 最後まで隊長(木場勝己)の台詞をお聞き逃しなく!

 

第9弾『お気に召すまま』

 ロザリンドの父はその弟フレデリックに公爵領を奪われアーデンの森で暮らしている。
 オーランドは遺産を受け継いだ兄オリヴァーに虐げられている。
 公爵主催のレスリング大会で優勝したオーランドはそこでロザリンドと出会い、二人は恋に落ちる。
 弟に嫉妬した兄の殺意を感じ、オーランドはアーデンの森へ逃げる。
 公爵フレデリックはロザリンドをも追放し、彼女は男装して道化とともに父のいるアーデンの森へ。
 オーランドは男装したロザリンドを彼女だと気が付かず、彼女への恋の告白の練習台になってもらう。
 遂にはオリヴァーも公爵に追放されアーデンの森を訪れ、そこでオーランドに助けられる。改心した彼は今までの仕打ちを詫びる。
 ロザリンドも本来の女性の姿に戻ってオーランドと結ばれ、全てのカップルが同時に結婚式を挙げる。

 「この世はすべて舞台」という名台詞も有名な戯曲。
 ロザリンドと道化タッチストーンの軽妙な韻を踏んだやり取りが、『天保-』では佐吉とおこま婆の“トカトントン”で表現されています。
 シアタークリエでは柚希礼音がロザリンドを演じ、マイケル・メイヤーとトム・キットのブロードウェイのスーパーコンビでミュージカルになりました。

 

第10弾『じゃじゃ馬ならし

 領主が村の酔っぱらいをいたずらで領主に仕立てたところに、旅芸人一座が来て芝居を見せる、劇中劇『じゃじゃ馬ならし』。

 裕福な姉妹の姉(キャタリーナ)は男嫌いのじゃじゃ馬娘で、妹(ビアンカ)は可憐で求婚者が鈴なり。
 父親は姉より先に妹を結婚させられないと嘆くと、妹の求婚者の1人が、金持ちなら何でもよいという男(ペトルーチオ)を紹介する。
 その男が姉との結婚を名乗り出てじゃじゃ馬ならしに乗り出し、機知と勇気で従順な妻に変身させる陽気な恋のかけひき喜劇。

 天保~では、剣術名手のおみつとおさちの双子姉妹(#唯月ふうか が二役)が、じゃじゃ馬ならしを彷彿とさせます。

 この作品をモチーフにしたコール・ポーター作曲の第1回トニー賞受賞ミュージカル、「キス・ミー・ケイト」は1966年に東京宝塚劇場江利チエミ、2002年に帝劇で一路真輝により上演されました。

 ミュージカルナンバーの中に「パクろうシェイクスピアなかにし礼訳詞)」があり、天保~を感じさせます!

 

第11弾『ジュリアス・シーザー

 時は古代ローマ
 戦地で活躍する将軍シーザーが市民の熱狂的な支持を得ている。彼が共和制を廃し皇帝になるのではと懸念する政治家たちはシーザー暗殺を企て、その計画を知った軍人ブルータスはシーザーに多くの恩があるため苦悩するが、理想の政治のため、元老院大広間で彼を刺殺してしまう。

 ブルータスは「シーザーよりもローマをもっと愛したのだ」と説明し市民の納得を得るものの、その後シーザーの腹心アントニーが演説でシーザーがいかに偉大で市民のことを考えていたかを印象付け、憤慨した市民が暴動を起こす。混乱に陥ったローマから追放されたブルータスは、やがて命を落とすこととなる…。

 シェイクスピア悲劇の代表作の一つである本作品。「ブルータスは立派な男だ」と繰り返しながらも彼の印象を悪くしてゆくアントニーの演説が有名で、『天保十二年のシェイクスピア』では三世次のセリフに落とし込まれています。

 タイトルは『ジュリアス・シーザー』ですが、主人公はブルータス。シーザーは歴史的英雄のカエサル(caesar)と同一人物で、「賽は投げられた」「ブルータス、お前もか」といった名言も残しています。

 

第12弾『リチャード三世』

 薔薇戦争中のイングランド
 容姿が醜く背中も湾曲している白薔薇グロスター公リチャードは世の中を憎んでいる。
 そしてあらゆる非道な手を使い王座に上り詰めようと画策する。
 兄のジョージをあらぬ嫌疑で処刑し、殺した赤薔薇のエドワードの妃アンを籠絡し妻にする。
 王である兄のエドワード四世の死後、その妻エリザベスにジョージ処刑の罪を被せ、その親類も処刑。
 自分の出世に邪魔な人物を計略で次々に陥れ、自身の王位継承の正当性を訴え、ついにリチャード三世として王位に就く。
 その後も自分の地位を守るため邪魔な人間を始末し続けるリチャード三世は、赤薔薇リッチモンドとの戦いの前夜、自分が殺害した数々の亡霊に苦しめられたうえ、戦いに敗れ死ぬ。

 勿論“佐渡の三世次”のモデルであり、圧倒的なダークヒーロー(?)でありながら、非常に人気の高いキャラクター。
 実際の彼が本当に“せむし”であったかは永年の争点でしたが、2012年に本物の遺骨が発見され、脊柱後湾症が認められました。
 発見したのは英国の主婦で、映画『ロスト・キング』で、遺骨発見に至るまでが描かれています。

 

第13弾『リチャード二世』

 王・リチャード二世の従弟ボリングブルックは、先ごろ暗殺されたグロスター公の死にノーフォーク公モウブレーが関与したとして告発。
 決闘が決まるが、自身も暗殺に関与していた事実が明らかになることを恐れる王は、当日決闘を中止させ、二人を追放する。

 ボリングブルックの父ゴーントは国の将来を心配し王に意見するが、王は全く聞く耳を持たず、病でゴーントが死ぬと彼の財産を没収してしまう。
 これを不当とするボリングブルックは地方貴族を次々と味方につけ、追放先から大軍を引き連れてイングランドに上陸。
 王の側近を排除し、民衆の支持も得て王と対面、追放の取消と領地返還を求める。

 圧政を続けていた王は立場が弱まり、ボリングブルックに王位を譲らざるを得ず、ボリングブルックはヘンリー四世として即位。
 前王・リチャード二世はポンフレット城に幽閉され、牢獄で瞑想に耽るうちに、暗殺される。

 シェイクスピア史劇の中でも有名な『ヘンリー四世』に直結する時代を描く本作品。
 リチャード二世が自分とは何なのか自問自答する哲学的場面は、後の『ハムレット』の瞑想の場の原点とも言われています。
 『天保十二年のシェイクスピア』では、佐渡の三世次が追い詰められるラストシーンに反映されており、過去ボリングブルックを演じたことのある浦井さんが、今度はリチャード二世の要素を持つ三世次をどう演じるのか、楽しみにしていてくださいね!

 

第14弾『から騒ぎ』

 青年貴族クローディオと知事の娘ヒーローの熱愛と、
 男嫌い女嫌いのベアトリスとベネディクが舌合戦しながらも惹かれ合う、2組のカップルが試練を乗り越え結ばれるという2つの対照的な恋愛を、機知溢れる言葉で描くシェイクスピア唯一、純正恋愛喜劇。
 『天保十二年のシェイクスピア』では、おこま婆と浮舟の会話に『から騒ぎ』が反映されています。
 野田秀樹東宝演出第2弾として1990年に、斉藤由貴樹木希林唐沢寿明三浦洋一で上演されました。

 

第15弾『ヘンリー四世・第一部』

 イングランドの王・ヘンリー四世は王座を狙う反乱者たちに苦しめられている。先代のエドワード三世の三男・ライオネルの息子モーティマーは、ヘンリー四世よりも優位な王位継承者だが今は捕虜となっており、反逆者ホットスパーは身代金を用意して解放させるべく王に求めるが、王は拒絶。ホットスパーウェールズの武将や大司教達と挙兵する。
 ヘンリー四世の嫡男・ハル王子は自堕落な生活を送っていたが、大酒飲みの騎士のファルスタッフと共に戦場で大暴れ。ホットスパーを打ち倒す。

 ハル王子が王になる為の葛藤と成長が描かれる、シェイクスピア歴史劇でも人気の高い作品。サム・メンデスが製作総指揮を務めたBBCテレビシリーズでは、映画「マイティ・ソー」のロキ役で人気のトム・ヒドルストンがハル王子を演じましたが、日本でも、松坂桃李や我らが浦井健治らが、魅力的なハル王子を演じてきました。奔放なきじるしの王次のモデルで、女郎達や子分達とのやりとりが、まさにハル王子に重なります。

 

第16弾『ヘンリー四世・第二部』

※『ヘンリー四世』は第一部・第二部に分かれた二部作です。

 ホットスパーが敗れた後、今度はヨーク大司教とトマス・モウブレーらが叛乱を起こす。一方ハル王子とファルスタッフは自堕落な生活に後戻り。フォールスタッフが居酒屋の女将に訴えられて高等法院長に叱られたり、ハル王子はそんな彼を悪友とからかったり。
 内戦が本格化すると、渋々戦地に向かって出発する二人だったが、ぐずぐずしているうちにハル王子の弟ジョン王子が奸計を用いて謀叛人たちを捕え、内乱は収束する。ついに相次いだ叛乱が落ち着き、喜ぶヘンリー四世だったが、度重なる心労もあり病で倒れてしまう。そこへ駆けつけたハル王子は父が死んだと勘違いし、王冠を自分の頭に戴き、悲しみに打ちひしがれる。王が目を覚ますと、王冠を被っているハル王子を見て憤慨するが、後に誤解は解け、やがて王は他界する。ハルがヘンリー五世として即位すると、ファルスタッフが意気揚々とやってくる。しかし、王としての自覚が芽生えたハルは彼を冷たくあしらい、追放を宣告する。

 シェイクスピア史劇の中でも有名で、映画化もされている本作品。『天保十二年のシェイクスピア』ではハル王子がモデルとなるきじるしの王次を大貫勇輔さんが演じます。ちなみに、王子の相方ファルスタッフは、浦井健治さんがハル王子を演じた公演では佐藤B作さんが、松坂桃李さんがハル王子を演じた公演は吉田鋼太郎さんが務めるなど、名優にふさわしい人気キャラクターです。

 

第17弾『ヘンリー五世』

 百年戦争のアジンコートの戦い(1415年)前夜に焦点をあてイングランド王ヘンリー五世の生涯を描いた史劇。
 リチャード二世,ヘンリー四世第一部・第二部に続く4部作の最終作。

 ヘンリー五世は放蕩三昧の限りを尽くした若い時代(ハル王子)とは打って変わり、才知溢れ尊敬をあつめる新王に成長した。新王はフランス王位継承件を主張、フランス皇太子からの挑発を受け遠征に乗り出し、アジンコートの戦いで5倍のフランス軍を破り、快進撃を続けた。しかし新王は、かつての遊び仲間に首吊を宣告した事で、心悩む。アジンコートの戦いの前夜、新王は一兵卒を装い、王の戦争責任について兵卒たちと反戦の思いなど議論を交わす。
 ラストは、フランス王女キャサリンと婚約しイギリス・フランスのふたつの国を手に収め、平和な時代が訪れる。

 『天保十二年のシェイクスピア』では、ヘンリー五世のコーラス(説明役)&オイディプス王のコロス(合唱隊)の特徴と、更に天保水滸伝の講談師的な部分も兼ね備え、ストーリーテラーとして百姓隊長が登場。観客に向かって説明し、芝居中の役としても、他の登場人物たちと会話します。木場勝己ならではの、きらり光るいぶし銀の名演をお楽しみ下さい。

 

第18弾『ヴェローナの二紳士』

 ヴェローナの紳士ヴァレンタインは人生経験の旅の途中、ミラノ侯爵令嬢シルヴィアと恋に落ちる。
 彼の親友プロテュースもミラノを訪れる。彼にはジュリアという恋人がいるにも関わらずシルヴィアに横恋慕する。プロテュースは親友も恋人も裏切り、フィアンセのいるシルヴィアとヴァレンタインが駆け落ちすると公爵に告げ口、ヴァレンタインはミラノを追放される。ジュリアもプロテュースを追って男装しプロテュースの小姓となるが、彼の本心を知って傷心する。シルヴィアはヴァレンタインを追って家出。それをプロテュース、ジュリア、フィアンセが追う。
 山賊に捕まったシルヴィアを助けたプロテュースは力づくで彼女をものにしようとするが、そこへヴァレンタインが現れ阻止、彼を叱責する。プロテュースは反省、ヴァレンタインは彼を許し、シルヴィアを譲ると言い出す。ショックで失神したジュリアの正体を知り、プロテュースは心を入れ替え彼女とヨリを戻す。シルヴィアのヴァレンタインへの一途な想いに打たれたミラノ公爵も彼との結婚を許す。

 16世紀という時代を感じるストーリーですが、プロテュースの“力”を持ってシルヴィアをものにしようとする態度は正に(唯月ふうかが演じる)お光に横恋慕する、(浦井健治が扮する)三世次のそれに重なります。
 東宝では2014年日生劇場宮本亜門の演出、西川貴教島袋寛子堂珍嘉邦霧矢大夢…というキャストで、ミュージカル版が上演されました。

 

第19弾『恋の骨折り損

 ナヴァラ国の若い王、ファーディナンドは友人の貴族3人と共に学問に専念するため『女性との交際や贅沢を3年間断つこと』を誓い合う。
 しかし、フランス王女と3人の侍女がやってきた途端、男性4人それぞれが彼女たちに恋に落ち、秘密裏に恋文を書いたり、変装して告白しようと試みたり、といった有様に。
 女性たちは彼らの計画を知り、からかいながらもその思いを試そうとする。彼女たちが恋の駆け引きを楽しんでいたところ、フランス王崩御の知らせが届き、喪に服すため求愛はお預けに。王女たちは男性たちに1年間禁欲生活を送る約束をさせ、ナヴァラ国を去ってゆく。

 シェイクスピア初期の喜劇である本作品。理想や誓いに縛られながらも、恋に翻弄される男性たちの姿が、韻を踏んだり、詩的な表現に凝ったりという、いかにもシェイクスピアらしいユーモアで描かれています。映画化もされており、この作品を原作としたミュージカルが2019年にシアタークリエで上演されました。『天保十二年のシェイクスピア』の若人の恋といえば、佐吉(猪野広樹)と浮舟太夫(福田えり)。
 二人の運命やいかに…!!

 

第20弾『テンペスト

 テンペストとは嵐を意味する。
 ミラノ大公プロスペローは弟アントーニオの策略に陥れられ、地位剥奪追放となって娘ミランダ共に、孤島に流れ着く。その島には怪人キャラバンや妖精、空気の精エアリエルが住んでいた。秘術を身につけたプロスペローはある日魔法の力でテンペスト(嵐)を起こし、アントーニオとナポリ女王、アロンザ王子ファーディナンドが乗る船を難破させ、孤島に流れ着かせる。そしてプロスペローの計画どおり、ミランダとファーディナンドは恋におちる。求婚するファーディナンドに対しプロスペローは厳しい条件を出すが、ファーディナンドは見事にそれを達し、ミランダとの結婚を許される。復讐劇を繰り広げたつもりのプロスペローだったが、娘の幸せを見届けると復讐を思いとどまり、アントーニオ等を許すことに。更には魔法の杖を折り、妖精エアリエルを自由の身とする。
 ラストにはあたたかな拍手で魔法の力を解き、自分を自由の身にしてほしいと観客に懇願して委ね、幕が降りる。

 佐渡能舞台で、和楽の中繰り広げる蜷川幸雄版『テンペスト』の初演は、東宝公演で1976年3月に、日生劇場平幹二朗・田中裕子で上演されました。
 『天保十二年のシェイクスピア』では、佐渡の三世次とお光のセリフに反映されています。

 

第21弾『間違いの喜劇』

 エフェソスの二組の双子、アンティフォラス兄弟と使用人のドロミオ兄弟。幼い頃に生き別れた双子は異なる街で成長し、無意識のまま同じ街に行き着く。勘違いや恋愛関係が交錯したりで様々なトラブルに巻き込まれ、兄が逃げ込んだ尼僧院で出会ったのが行方不明の母だった。家族は再会し、恋愛関係も解決、ハッピーエンドを迎える。

 喜劇ではありますが、アイデンティティがテーマの作品。天保では生き別れたお光とおさちの双子姉妹がまさにこの作品を元にしています。蜷川幸雄演出オールメールシリーズで、若干23才で大抜擢された小栗旬がアンティフォラスを演じました。

 

第22弾『アントニークレオパトラ

 舞台は紀元前のローマとエジプト。ローマの三頭政治を担うアントニーは、エジプトの女王クレオパトラに心を奪われ、豪奢な生活を楽しんでいた。しかし、正妻が死に政情が不安定になると、アントニーはローマに戻り、同じく三頭政治を担うオクテイヴィアス・シーザーの姉と結婚する。これを知ったクレオパトラは激怒する。

 シーザーが権力を握り始めると、アントニーは妻を捨てクレオパトラと挙兵し、対抗する。将軍たちが陸戦を勧めたにも関わらず、クレオパトラに従って不利な海戦に臨むアントニーだったが、クレオパトラの船が怖気付いて逃げ出してしまい、惨憺たる敗北を喫する。

 恐れをなしたクレオパトラは自分が死んだことにして身を隠すが、それを鵜呑みにしたアントニーは絶望し、自害を試みる。クレオパトラは泣きながらアントニーの死を見届け、自らも毒蛇に身を委ね死を選ぶ。

 『ジュリアス・シーザー』のその後を描いた本作品は、中年男女の大恋愛をテーマとした悲劇。場面が42もあるため、転換が大変な作品として有名です。『天保十二年のシェイクスピア』では、恋人関係にある佐吉と浮舟太夫に反映されており、二人の恋愛がどのような末路をたどるのか、ご注目ください!

 

第23弾『冬物語

 シチリアの王レオンティーズは、妻のハーマイオニと親友のボヘミア王ポリクシニーズの密通という不義の疑惑(物語)に嫉妬に狂う。しかし侍女ポーライナからの王妃ハーマイオニの死の知らせが届き人としての心、後悔と悲嘆(冬)にくれる。

 時はうつり16年後。ボヘミアにて羊飼い娘として育てられたレオンティーズとハーマイオニの娘バーディタはポリクシニーズの息子であるフロリゼルと恋に落ちる。この事がきっかけで断絶状態にあった、レオンティーズとポリクシニーズの友情も復活、そしてハーマイオニの死を悼むレオンティーズの前で侍女ポーライナはハーマイオニを蘇らせて一同は再会、驚くべき真実が明かされる-。

 シェイクスピア晩年の円熟した筆が物語を自在に操り、悲喜劇が交差する、和解と再会のロマンス劇。
 『天保十二年のシェイクスピア』では、唯月ふうか演じるお光が「捨て子」である設定や、木場勝己扮する百姓隊長が時空をコントロールする場面などに反映されています。1999年には宝塚歌劇団花組により江戸時代後半の歌舞伎の世界に置き換え、春野寿美礼瀬奈じゅん(今回、お文役で出演!)により、上演されました。

 

第24弾『コリオレイナス

 古代ローマの軍人・コリオレイナスは多くの戦争で活躍し、英雄と讃えられた。
 しかし平和が戻ると、彼の冷徹で高慢な性格は市民に疎まれ、政治的な対立からローマを追放される。
 彼はその復讐に敵方と手を組みローマに攻め入る。
 母、そして妻の説得により攻撃を止め和平を結ぶが、手を組んだ敵方に裏切り者として暗殺される。

 『天保十二年のシェイクスピア』で反映されているのは佐吉と母のおこま婆。
 息子を想う母の行動が逆に息子に死を招く結果となる皮肉として描かれています。
 蜷川幸雄演出で、唐沢寿明コリオレイナスを演じました。

 

第25弾『シンベリン』

 舞台は古代ブリテン
 王シンベリンの娘イノジェンが、父の意向に反して貴族ポステュマスと密かに結婚すると、激怒した王はポステュマスを国外追放する。
 ローマに渡ったポステュマスが妻の自慢をするあまり、伊達男ヤーキモーは彼女の貞節を巡る賭けを持ちかける。
 ヤーキモーはブリテンでイノジェンを口説こうとするものの上手くいかず、寝室に忍び込んで彼女の腕から腕輪を抜き取り、ローマに戻る。
 腕輪を見せられたポステュマスは絶望し、部下ピザーニオに妻の殺害を命じる。
 ピザーニオから真実を聞いたイノジェンは男装して旅に出ることに。
 彼女は旅先で二人の若者グウィデーリアスとアーヴィラガスと親しくなる。
 彼らは実は幼い頃に行方不明となっていたイノジェンの兄弟(王子)なのだが、互いにその正体には気付かない。
 やがてブリテンとローマの戦争が勃発するが、王子たちの活躍もありブリテンが勝利する。
 ポステュマスとイノジェン、そして王子たちが再会すると、王の前で全ての経緯、正体が明らかになり、大団円となる。

 『天保十二年のシェイクスピア』では、妻に裏切られ女性を呪ってしまうポステュマスの姿が、大貫勇輔演じる、きじるしの王次に反映されています。
 ポステュマスという役は、2012年に阿部寛さんが演じたことでも知られています。

 

第26弾『終わり良ければすべてよし』

 前・伯爵の主治医の遺児であるヘレナは、現・伯爵のバートラムに想いを寄せているが身分違いで打ちあける事が出来ない。
 しかしフランス王の難病を父の医術を受け継ぎ治療し、夫を選ぶ権利を手にしてバートラムと結婚する。
 だがバートラムはヘレナを嫌い断固拒否、逃亡して他の女を口説く始末。
 ヘレナは彼を追い、彼が口説いた女とその母親に事情を話し、この作品が書かれた当時の演劇作品でしばしば使われた、「男が女の寝室へ忍び込むがベッドの中にいるのは別の女」と言う筋立ての、「ベッドトリック」までして、ヘレナは身重となる。
 そこまで慕われたバートラムはラスト、これまでの仕打ちを謝り、ヘレナを愛する事を誓う。
 そして王が幕切れで口上役となり『終わりよければすべてよし』と観客に拍手をねだり芝居は幕切れとなる。

 シェイクスピアの「問題作」。
 この作品全体的には不自然な点も多く、シェイクスピア作品の中でもとりわけ公演回数が少ない作品の1つです。
 『天保十二年のシェイクスピア』では、きじるしの王子とお光が身分違いの想いで恋して、ヘレナとバートラムに重なります。

 

第27弾『尺には尺を』

 ウィーンの公爵ヴィンセンシオは副官のアンジェロに治世を任せ、自らは修道士に変装し、その政治ぶりを見守る。
 厳格なアンジェロは長年形骸化していた法を用いて厳しい統治を行い、不貞の罪で若者クローディオが死刑囚となる。正式な結婚前に婚約者ジュリエットを妊娠させ、不道徳とみなされたのだ。
 クローディオの妹で修道女見習いのイザベラは兄の助命を嘆願するが、その美しさに惹かれたアンジェロは、兄を助ける代償として彼女の身体を求める。
 敬虔なイザベラはその要求を拒絶し、兄に死を覚悟するよう伝える。
 修道士に扮した公爵はイザベラに助けを申し出て、彼女の身代わりにアンジェロの元婚約者マリアーナを送り込む計略を授ける。今でもアンジェロを愛するマリアーナは協力するが、肉欲を満たしたアンジェロは約束を破りクローディオの死刑を宣告する。
 公爵として宮廷に戻ったヴィンセンシオはアンジェロを姦淫罪で死刑とする。
 マリアーナとイザベラが彼の命乞いをすると、公爵は全てを赦し、アンジェロとマリアーナを結婚させる。最後に、公爵がイザベラに唐突な求婚をして、劇は終わる。

 『天保十二年のシェイクスピア』では、イザベラと幕兵衞の台詞が対応しています。
 昨年上演された舞台では、我らが浦井健治さんがクローディオを演じました。
 また、蜷川幸雄さんの遺作となった公演では、前回の『天保十二年のシェイクスピア』で鰤の十兵衛役を演じた辻萬長さんがヴィンセンシオを演じました。

 

第28弾『ペリクリーズ』

 中世の詩人ガワーの霊がよみがえり、古き話を語り出す。
 ティルスの領主ペリクリーズは求婚しようとした王女と、その父の近親相姦を見抜いてしまい、国と我が身を護る為、旅に出る。嵐で遭難しペンタポリスに流れ着くと、その国の王が主催する槍の試合に勝利し、王の娘タイーサと結ばれ、娘マリーナが誕生。出産の苦しみでタイーサは命を落とし、ペリクリーズは泣く泣くタイーサの棺を海に葬る。海に流された棺はエフェソスに流れ着き、タイーサは医師の力で奇跡的に息を吹き返す。そこで巫女として暮らす決意するタイーザ。
 一方彼女の幼い娘マリーナは、ターサスの大守に預けられ美しく成長するが、海賊に誘拐され、ミティリーニという場所で売春宿に売られてしまう。ペリクリーズは娘が死んだと知らされ、再び失意の旅に出るが、マリーナと偶然再会。女神ダイアナの導きでエフェソスへ向かったペリクリーズ親子は、タイーサとも再会する。マリーナとミティリーニの大守の結婚も決まり、最後は幸せな大団円を迎える。

 『天保十二年のシェイクスピア』では、隊長(木場勝己)の台詞に詩人ガワーの台詞が反映されたり、死んだものと思われていたお光(唯月ふうか)が戻って来る設定が、ペリクリーズから反映されています。神様のお告げや死んだはずの人が生きかえるなど、伝奇的な雰囲気に満ちた作風はペリクリーズを皮切りに冬物語、シンべリン、テンペスト、の4作品に共通しています。

 

第29弾『アテネのタイモン』

 アテネの裕福な貴族であるタイモンは非常に気前がよく、知人や困窮者に金を与え、宴会を頻繁に開いていた。際限なく金をばら撒いた結果、タイモンは莫大な借金を抱え込んでしまう。そこで、彼はかつて恩を施した人々に助けを求めるが、誰一人として手を差し伸べる者は現れない。本当の友が一人としていないことに絶望したタイモンは、人間社会を呪い、アテネを離れ、世捨て人として森の洞窟に住む。
 一方、以前からタイモンの味方だった軍人アルキビアデスが、友人が犯した罪を自分の軍功と引き換えに赦免してほしいと訴えると、元老院からその態度が傲慢だとされ、追放を言い渡される。アルキビアデスが忘恩のアテネに対し挙兵して復讐しようとすると、彼を応援するタイモンは、森で掘り当てた金を贈る。アルキビアデスの反乱を鎮めようとする元老院議員たちがタイモンの力を借りるため洞窟を訪れるが、タイモンは拒絶する。
 最終的にアテネは反乱軍に降伏し、アルキビアデスは復讐を果たすが、そこへタイモンの訃報が届き、劇が終わる。

 『天保十二年のシェイクスピア』では、人間社会に絶望したタイモンが盗賊に金貨を投げつける姿が、富を手に入れた、のちの佐渡の三世次に重なります。

 

第30弾『トロイラスとクレシダ』

 “トロイの木馬”で有名なトロイア戦争中のトロイとギリシャが舞台。
 トロイの王子トロイラスは神官の娘クレシダと愛し合い結ばれたが、彼女の父がギリシャ側についた為、クレシダもギリシャに渡り、そこで武将ディオメデスにも心惹かれてしまう。トロイラスは激怒しギリシャに攻め込むが、ディオメデスを打ち倒せない。
 物語はその後ギリシャ武将アキレウスとトロイ武将ヘクトルとの戦いに主軸が移るが、“問題劇”と言われるこの物語は、トロイの暗い未来を暗示するところで終わってしまう。

 2015年に鵜山仁演出版にてトロイラスを演じたのが我らが浦井健治です!『天保十二年のシェイクスピア』ではまさに、三世次の1幕終わりの捨て台詞に反映されています!

 

第31弾『タイタス・アンドロニカス』

 ローマ将軍タイタス・アンドロニカスは捕虜であるゴート人の女王タモーラの長男を殺し、戦死した我が子たちの霊廟へ生贄にする。
 これを怨んだ残る次男たちは、一転ローマ皇帝妃となったタモーラの狡猾な情夫アーロンと共謀し、タイタスの娘ラヴィニアを襲い凌辱、その舌と両手を切断してしまう。更にタイタスの二人の息子達は、冤罪により逮捕される。
 怒り狂うタイタスは自らの手を切り「これで息子を助けて下さい」と皇帝に釈放を乞うが、息子等は敢え無く処刑。
 全てはタモーラの仕業と知ったタイタスは長男ルーシアスに命じゴート軍と結託してローマを攻めさせる一方で、タモーラの息子二人を捕獲して殺す。
 そして、ローマとゴートの和平の場で、先のローマ皇帝の長男・サターナイナスの助言に従い、タイタスは凌辱を理由にラヴィニアを絞め殺し、タモーラには息子等の人肉パイを食べさせて刺殺。
 そのタイタスはサターナイナスに殺され、サターナイナスはルーシアスに殺され、新ローマ皇帝に推挙されたルーシアスはゴート軍に捕られたアーロンを、生き埋めの刑にー。

 シェイクスピア作品の中で最も暴力性、残虐性にあふれた復讐劇、初期の衝撃作品。『天保十二年のシェイクスピア』では三世次とお光の関係が、タモーラの息子とラヴィニアの台詞等で反映されています。

 

第32弾『ヘンリー八世』

 イギリス国王ヘンリー八世の宮殿では、王の寵愛を受け、汚い政治的策略で出世した枢機卿ウルジーが、思うがままに貴族を操るほどの絶大な権力をふるっていた。
 民衆や公爵たちは強欲なウルジーを嫌っているが、陰謀により、彼の政敵は処刑されてしまう。
 ウルジーが開いた宴会で女官のアンに出会った国王は、彼女の美しさに魅了され、長年連れ添った王妃キャサリンと離縁しようとする。
 妃は離婚を拒み、ウルジーもまたアンが自分の出世の邪魔になると考え、裁決を担うローマ法王に嘆願書を贈る。
 しかし、この手紙が間違って王の手に渡り、さらにウルジーが国の財産を着服し、私腹を肥やしていたことが発覚すると、激怒した王は彼から全官職・財産を没収し、ウルジーは失脚。
 キャサリンとの離縁が決まり、アンが新王妃となる。
 アンに待望の王女が誕生すると、宮廷の周りは祝福する民衆であふれかえり、王女はエリザベスと名付けられる。

 本作品には、狂言回しとして”三人の紳士”が登場しますが、『天保十二年のシェイクスピア』の隊長役(木場勝己)と重なります。
 また、ローマ法王に賄賂を贈り自身の出世を実現させたり、重税を強いて民衆の反感を買うウルジーの姿が、佐渡の三世次(浦井健治)に反映されています。

 

第33弾『ウインザーの陽気な女房たち』

 イギリスのウィンザーが舞台。
 酒好き女好きで財産を持たない中年の騎士・ファルスタッフは裕福な商人の妻、フォード夫人とページ夫人の2人から金を取ろうと画策。
 2人の夫人に同時に恋文を送り騙そうとするが、2人の夫人はファルスタッフの計略を見抜き、逆に数々の策略をめぐらし彼を懲らしめる。

 『天保十二年のシェイクスピア』では、佐渡の三世次が尾瀬の幕兵衛に“嫉妬”という毒を全身に回していく場面がフォード夫人の夫に嫉妬させる場面などに重なります。

 

第34弾『ジョン王』

 13世紀のイングランド
 王位を巡り、ジョン王と甥のアーサーが対立。アーサーの母コンスタンスとフランス王のフィリップがアーサーの王位を主張し、イングランドとフランスは戦争を始める。
 ジョン王の姪・ブランチとフランス皇太子ルイとの結婚で和平が成立するかに見えたが、コンスタンスが反対し、戦争が再燃。ジョン王はアーサーを捕え、処刑しようとする。しかしジョン王の家臣はそれを躊躇し、アーサーは逃亡中に誤って命を落とす。
 その為イングランド諸侯は王に離反し、更にフランス軍に苦しめられる中、ジョン王は修道士に毒を守られて死亡。
 ジョン王の息子ヘンリーが次の王となり、次世代を期待される。

 『天保十二年のシェイクスピア』では ♫三世次のブルース♫ に、コンスタンスの台詞が生かされています。
 ♪愛するは憎む、憎むは愛する…
 彩の国シェイクスピアシリーズの完結として、2023年に吉田鋼太郎演出・小栗旬主演で上演されました。

 

番外編:オープニングナンバー『もしもシェイクスピアがいなかったら』

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第35弾『ヘンリー六世・第一部』

 百年戦争終盤が舞台。フランスでの戦況とジャンヌ・ダルクの活躍、イギリス国内での不穏な動きが描かれる。
 ヘンリー六世が幼少の為、実権は貴族たちが握っており、白薔薇ヨーク家vs赤薔薇ランカスター家が争う薔薇戦争の始まりが描かれる。

 『天保十二年のシェイクスピア』の佐渡の三世次に投影されたリチャード三世にも繋がる、とても縁のある作品です。

 

第36弾『ヘンリー六世・第二部』

 物語の中心となるのは、マーガレット王妃の登場により激化する宮廷内での派閥争い。
 妃をフランスから連れてきた愛人のサフォーク伯は枢機卿らと陰謀を企み、対立する摂政グロスター公を暗殺する。悲しむ王はサフォークを追放し、妃はサフォークと嘆きながら別れる。枢機卿は病で悶死し、サフォークも非業の死を遂げる。
 平民たちの間で不穏な空気が広がる中、密かに王位を狙うヨーク公は暴徒ジャック・ケイドにイギリスで叛乱を起こさせると同時に、逆賊サマセット公の成敗を名目にアイルランドから挙兵し、薔薇戦争が勃発。ケイド、サマセットは倒され、王と王妃は逃亡。
 ヨーク側の圧倒的な勝利で第二部は終了する。

 『天保十二年のシェイクスピア』では、夫のヘンリー王を心の内で見限り、サフォークに心を傾けていく妃の姿が、お文(瀬奈じゅん)、お里(土井ケイト)に反映されています。

 

第37弾『ヘンリー六世・第三部』

 百年戦争とそれに続く薔薇戦争により疲弊したイングランドで、歴史に翻弄される王ヘンリー六世と王を取り巻く人々を描く長編史劇三部作の最終章。
 ヨーク公リチャードが息子エドワード、ジョージ、リチャードと共にランカスター朝から王位を奪う為に戦うところから物語は始まる。
 ウェイクフィールドの戦いでヨーク公が敗死した後も、息子らは戦いを続け、エドワードはエドワード四世としてイングランド王に即位。しかしランカスター派の抵抗は続き、マーガレット王妃やフランスの支援を受けたヘンリー六世との間で戦いが繰り広げられる。
 最終的にエドワード四世はデュークスベリーの戦いで勝利、ヘンリー六世と息子のエドワードを殺害し、ランカスター一家を滅ぼす。

 第三部は前二作に比べてより残酷な描写も多く、権力闘争の醜さや人間の残忍さを容赦なく描き出すことで、戦争の悲惨を浮き彫りにした作品となっています。また、登場人物たちの複雑な心理描写も見どころの1つです。

 特にリチャード三世はその残忍さと狡猾さ、そして孤独な内面が鮮やかに描かれていて、シェイクスピア作品の中でも特に人気のあるダークヒーローの1人になっています。

 浦井健治がリチャード三世を投影した「佐渡の三世次」を演じる『天保十二年のシェイクスピア日生劇場公演はいよいよ12月29日(日)まで!