徒然なるまま

日々の記録

演劇好きに観てほしい『爆烈忠臣蔵』

劇団☆新感線の『爆烈忠臣蔵~桜吹雪THUNDERSTRUCK』を観てきました!

感想というか、好きなところメモ。

新感線初心者なのでいろいろ大目に見てください。

※ネタバレを含みますのでご注意ください。

 

歌舞伎知っててよかった!より楽しめた気がする!

歌舞伎もそんなに詳しいわけではないけど、テッパンの演出はわかるようになってきたし、3月に仮名手本忠臣蔵を通しで観たばかりなのが大きい。

名場面が多かった!

 

橋本じゅんさん演じる荒蔵がいきなり定九郎の拵えで登場。

濡れ髪整える仕草の中に、耳に入った水抜く仕草が入ってて笑う。

「ごじゅ〜うりょ〜〜う!」

腕が縞財布突き破っちゃってるのよww

クマに襲われながら叫ぶ「一度開いた幕は何があっても途中で降ろしちゃいけねぇんだよ!」

幾度となく聞いてきた台詞だけど、やっぱり胸にくるものがある…

 

主演のお破(おやぶ)を演じる小池栄子さんはほぼ出ずっぱり。

序盤で大星由良之助(大石内蔵助)を演じたいと発言していて、きっと叶うんだろうなとは思ったけど、正直小池さんが由良之助の拵えするイメージは湧かなくて。

終盤に内蔵助として出てきてびっくり!

裾の長い真っ赤な衣装にポニーテル。かっこいい!似合う!

 

出てくるだけで場が引き締まる古田新太さん。圧倒的スター感!

テレビで観るときとは印象の違う、太くていい声。

「ここを仕切ってるのは俺だ」という台詞で、マダレを思い出すなど。

馬(笑)に乗って出てきたタイミングで、なぜかサンバやるな?と気づいた。我ながらなんでだろ、メイク?

サンバ、似合う。もうちょっと見たかった。

お破の芝居への熱に当てられて覚醒してからの、アツい早口長台詞も素敵だった〜!

 

早乙女太一さん、女方の役者!

女方での高速立廻り、美しすぎて鳥肌立った…

何あれ…大衆演劇の役者さんって皆さんあんなことできるの?太一さんがすごすぎるだけ??

後半に、川原正嗣さん(歌舞伎NEXT朧の森のヤスマサ将軍)との一騎討ちの場面があり、これもゾクゾクした。

おそらく今回の座組の中で最も立廻りに長けたお二人。本当に綺麗で、見てて興奮する立廻りだった。

太一さん、舞台の真ん中で小池栄子さんたちがメインの芝居をしてるときは端で立ってそれを見てることが多かったんだけど、そのときの立ち姿もめちゃくちゃ様になってて見惚れてしまった。

 

向井理さん、生で見たのは初めて。顔が…いい…!

いやイケメンなのもそうなんだけど、「優しそうだけど何考えてるかわからない」感じがとても似合うなと思った。

太一さんと2人、セットの2階から小池さんたちを見下ろしてる表情がとてもよかった。

向井さん演じる天外「無理をなんとかするのが狂言作者の仕事」

ほんと、そうだよね!!!(推し狂言作者を思い浮かべながら)

 

新感線の密かなる推し、栗根まことさん!

火事の後、感情を見せるシーンがよかったな。

古田さんに台詞とられて怒るというおもしろシーンでなぜか泣いた。

 

密かなる推しもうお一方、右近健一さん!

初登場のインパクトよ。クリスティーヌ…?

かわいすぎる水野忠邦だった。

そして、やっぱり歌がすごい。オペラ座の怪人の間奏のあの高音、男性でも出るんだ!びっくり。

 

橋本さとしさん演じる遠山の金さん、とても刺さった…!

本心と立場の狭間で葛藤する人物、大好き。

きらら浮世伝で錦之助さんが演じてた初鹿野を思い出した。

初鹿野は結局敵となってしまったけど、金さんは立場を守りつつお破たちに助言してくれたり、最後には藤川を説得してくれたり。

さとしさん、舞台で観たのは初めてかな。出演作調べてみたら、ことごとく観たミュージカル作品の観てないほうのキャストだった。

歌お上手でかっこよかった〜!

 

鮒侍!あの憎き高師直の場面だ!

…あれ、こんな台詞あったっけ?と思ったら、お破のアドリブ(史実とされている言葉)が付け加えられていたらしい。

うわ〜!これがわかったの、とても嬉しい!

 

忠臣蔵以外にも歌舞伎らしい趣向がたくさん取り入れられてた。

附けは録音ではなく生音。本物の附け打ち、山﨑徹さん!

歌舞伎NEXT朧の森でも打ってくれていた方で、もともと新感線とご縁があるのかな?と思っていたけど、どうやら幸四郎さんが染五郎時代に新感線に出たご縁が繋がってのことらしい。(山﨑さんインスタより)

私が座ったのは3階上手の席で花道が全く見えなかったので、役者さんが花道駆けてくるところとか見得?(見えないので定かでない)とかは、山﨑さんロックオンで見てた。

 

役者さん、本舞台でも見得してたな。

ド派手な照明、ロック、附けの音に合わせた見得は、歌舞伎とはまた違ったかっこよさがあってこちらも大好き!

 

向井さんの二役早替り、お見事だった!

特に終盤、天外と藤川が顔を合わせる場面。

「天外が捌ける→吹替の人が籠に入る→籠を開ける」の一連で胸が高鳴った。

籠から向井さん出てきて大拍手!かと思いきやそうでもなくて、もしかしてすごすぎてお客さん入れ替わったの気づいてない…?

この後もう一度天外になってみんなに合流するところがいちばん早かった気がする。

すごかったな〜!

ただこの二人って結局どういう関係なのか明かされなかったような…?

天外の語りからして、生き別れの兄弟かなと思ったけど、それを断定する台詞はなかった、と思う。

あそこまで示せばわかるだろ的な…?

 

序盤の、森の動物たちが手伝ってのお破の早替りは笑った。

動物たちみんなかわいかったな〜!

急に子ども向けミュージカルみたいになって。

特にアライグマが好きでした。

一輪車に乗れるクマもすごい!

 

ラストの古田さん口上「隅から隅までずずずいと」チョン!と、下手の舞台袖で柝を打つ本物の狂言作者さん(かな?)が見えて、グッときた。

 

歌舞伎だけでなくいろんなエンタメのパロディ満載で楽しかった!

マツケンサンバ、遠山の金さん、暴れん坊将軍

ロミジュリ、オペラ座セーラームーンセーラームーンは白浪五人男ともかけてたのかな。

なんかワイヤーが見えて、宙乗り!誰が飛ぶの?と期待してたら太一さん!

(フライングと言うべきなのかもしれないけど、歌舞伎モチーフだったのであえての宙乗り

タキシード仮面ならぬ陣羽織仮面、理解するのに時間がかかって、じわじわ笑ったww

 

そして忠臣蔵、大詰の吉良ってそんなにみんなやりたい役かな?と疑問に思ってたら、なんかやたらカラフルな吉良がどんどんとww

7色揃って笑ってたらバックから照明パーン!音楽ドーン!

7人のシルエットが浮かび上がって映し出されるタイトル「吉良上野介の七人」

髑髏城だ〜!

ここ、新感線初心者の私ですらテンション上がったのに、長年のファン泣いちゃうのでは?いや笑うか?

とにかくアツい演出だった!

 

観劇中、ここ数年に観たいろんなお芝居や実際の出来事が次々と思い起こされ、自分でもよくわからないタイミングでたびたび涙…

何度も出てくる「嘘を真に」「わざおぎ」という言葉。

俳優という職業は、まさに嘘を本当にする仕事なんだよなあ…としみじみした。

 

帰ってからダウンロードした配役表見てて気づいた。

舞踊振付・所作指導:尾上菊之丞

女方所作指導:尾上菊三呂

全然知らなかった!なんか嬉しい!

 

改めて「私は演劇が好きだ!」と思える、素敵な作品でした。

これにて今年の観劇納めの予定だったけど、良すぎた&花道見えなかったのだけは消化不良で、チケ松見ちゃってる〜

 

🌸終わり🌸

 

 

三谷かぶき『歌舞伎絶対続魂(ショウ・マスト・ゴー・オン)』感想

吉例顔見世大歌舞伎、三谷かぶき『歌舞伎絶対続魂(ショウ・マスト・ゴー・オン)〜幕を閉めるな〜』を観てきました!

本当におもしろくて笑いっぱなしの2時間!

好きすぎて結局5回観たので、内容メモと簡単な感想、それぞれの観劇で気づいたことなど。

感想文というより、もはや見守り日誌みたいになってしまった。

※以下、思いっきりネタバレしてますのでご注意ください。

11月2日(初見)初日

狂言作者花桐冬五郎役の幸四郎さん。

いつものことながら顔がいい!

いつもよりちょっと高めの声、口調も女性っぽい?と思っていたら、後に明かされるけど実は元女方の役者!意外な設定。

本筋とは一切関係ないところでずっと刺繍してるのかわいすぎでは…

刺繍のデザインは「えびすや」。

獅童さん演じる役者の屋号。贔屓なの??

 

座元藤川半蔵役の愛之助さん。関西弁!

ショウ・マスト・ゴー・オンの精神がいちばん強い人物でかっこいいなと思ってたんだけど、そもそもこの人が全ての発端だった。笑

 

獅童さん演じる山本小平次は、四の切で忠信を演じる役者。

個人的には(役が)あまり好きではなかったけど、ラストの二人狐はとてもよかったな!

 

染五郎くんは二役!

狂言作者見習(つまり幸四郎さんの弟子!)の花桐番吉と、なんか偉そうな義経役者の坂田虎尾(作中では「若旦那」と呼ばれてることが多かった)。

親子の絡みはやっぱりいいね。

染五郎くん演じる番吉の父親(元役者)が演技が下手で不細工だった、と悪口を言われてなぜかキレる幸四郎さん。

序盤から早速の親子ネタ、ありがとうございます。笑

染五郎くん、義経の拵え似合うな〜!

(ショウマストの感想からはズレるけど、染五郎義経、團子忠信、左近静で四の切観たい!となった。)

番吉と虎尾、どちらかは常に出てるような感じだったので染五郎くん大忙しだったけど、そうは感じさせないさすがの演じ分けだった!

 

三谷作品好きにはお馴染みの役者さん、阿南健治さんは大道具方の儀右衛門というお役。

幸四郎さん冬五郎が染五郎くん番吉に阿南さんを説明するときの台詞はアドリブかな。

「東京さんしゃいんぼーいずの…口に拳が入る…昔、帯状疱疹になって…それで広告がきたって…」染五郎くん笑ってたような。

私も阿南さんには帯状疱疹のイメージが強いので爆笑だった。

 

白鸚さんと染五郎くんの場面、よかった…!

高麗屋三代の場面はどうしても期待してしまうよね。今回幸四郎さんは直接関わっていないけど、捌けずに舞台上に残って、三代揃ってくれて嬉しい。

白鸚さん演じる役者の叶琴左衛門は何度も番吉の名前を間違えるんだけど、最後は「ボン吉」うわー!みんな好きなやつ〜!

というかむしろ、これをやりたいがために役名番吉にしたな??(好き)

白鸚さんが肩ポンポンしてあげるとき、されやすいように自分から近づく孫がかわいい😊

 

橋之助さん演じる浅尾天太郎と歌之助くん演じる市山赤福(ともに立役の役者)、それから莟玉さん演じる篠塚五十鈴(女方の役者)は幼馴染の設定。

なんか…エモい…

橋之助さん天太郎が「忠信やりたい」、莟玉さん五十鈴が「そのときは私が静御前」と夢を語り合うとき、

出番を終えて戻ってきた歌之助くん赤福が「五十鈴ちゃん、やったよ!」って報告するとき(正確な言い回しは忘れたけど、確かに「ちゃん」呼びだった)、

タッチ観てるのかと思ったよ。

橋歌ご兄弟、莟玉さんに惚れてない…?

 

赤福は博打屋の息子。天太郎は歌舞伎の家の子。互いを意識せずにはいられない関係性。笑

「どっかで聞いたことあるような話だなあ!」ツッコんでるのが鴈治郎さんなのがまたおかしかった。

 

ダブル亀井はめっちゃ笑った。これは兄弟ならでは!

(福之助さんも観たかった… 橋之助さんがめちゃよかったからこそね!!!)

染五郎くん番吉、2回目の「亀井六郎入りまーす!」の言い方がとても困惑してる感出ててよかった。笑

 

莟玉さん、腰元の拵えで男性の声出してるの新鮮!

「緊張しなくて大丈夫だよ。腰元観てる人あんまりいないから」いやいやいや😅

なんと気まずいことを。爆笑だったけども!

静御前をやれると決まって)「ッシャー!!!(野太い声)」最高。笑

 

別の会見で勘九郎さんと七之助さんが「鶴松がいいお役もらったようで」とコメントしていたけど、大いに納得。

正体明かす前も十分に「いい」(かわいらしい)お役だったけど、それ以上だった!

竹田出雲の弟子、半二。と見せかけて実は竹田出雲!

ひとりだけ悪役みたいになっちゃってこれ最後どうするの?と思ったけど、いい芝居を観て「負けてらんないな!」って走り去っていくの大変よかった。

鶴松さん、かわいいお役も爽やかなお役も似合うけど、ちょっとニヒルなお役も意外性があっていい!ぜひまた観てみたい。

 

彌十郎さん演じる竹島いせ菊は女方の役者。

彌十郎さんの静、おもしろかった😂

顎が何度外れても場を繋ぐために踊り続ける健気な静…

交替させないであげて〜!

 

阿南さんと、もうひとりの三谷作品常連の役者さん、浅野和之さん!骨つぎ玄福役。

ある意味いちばんクレイジーな役だった。

あれはもう三谷さんが観たい浅野さんでしょww

彌十郎さんとセットでおもしろすぎたな…!

 

新悟さん演じる遊女のお久、想像以上に複雑な役どころだった。

女性が男装して女方やる、という設定だけどそもそもその女性を演じている新悟さんは男性なわけで。

この芝居に出てくる唯一の女性なのに「女に見えない」「立役のほうが向いてる」と言われ。

駿河次郎、笑った。なんか…和事?優しげな駿河

でも不機嫌なのがまたおもしろい。

新悟さんお久が「髪剃られた!」って怒って、詰め寄られる染五郎くん虎尾がちょっと笑ってるのよかった。笑

からの「惚れ直した!」…なんでだよ(笑)

 

ほぼほぼ舞台裏のセットで物語が進んでいくけど、終盤に初めての転換。

廻り舞台が回転すると四の切のセット!

彌十郎さんと交替した莟玉さん静、かわいいのなんのって…!

静役が嬉しすぎてニヤニヤしちゃったり、狐たちに振り回されて困惑したり、狐たちの暴走を誤魔化そうとアンガールズみたいな踊りするのも全部全部かわいい!

ちょっとあの子には惚れてしまう…

 

この転換前に「忠信役を冬五郎にお願い」と打診する場面があったものの、実際どうなるのかははっきりしておらず…

静が鼓を打って忠信を呼ぶのでドキドキ。

中央の階段ガン見しててもなかなか出て来ず。静も困惑(困り顔もかわいい)。

揚幕チャリン「出があるで!」に騙されずに階段見続けてると、花道を愛之助さん座元が慌てて駆けてくるという逆サプライズ。笑

そして静の足ダンッを合図に階段から狐忠信登場!幸四郎さんだ!!!

うわー!まさか幸四郎さん忠信を観られる日が来るとは!嬉しすぎ!!!

(やったことあります…?サラッと調べた感じなさそうだった)

 

ところどころ端折ってたし、途中で彌十郎さん静とそれを止めるダブル亀井の乱入(カオス)とかもあったけど、割と忠実に再現されてた。

幸四郎さんの狐詞!かわいい!

 

静に刀振り上げられて忠信が海老反りになるところ、心配しながら観てたけど(ごめんなさい)一瞬だけちゃんと成功。

(本気でやればきっともっと長時間できるよ!)

鼓を静にパスし、豪快な階段落ち。これ毎日やるの…?心配!

 

浅野さん骨つぎを踏み台にして😂なんとか元の芝居へ。

🐼「さてはそなたは狐じゃな?」

🦊「アーッ!」と言うけど消えない忠信。あれ?あれ?「アーッ!」ともう1回やってみる(かわいい)

幸四郎さん忠信が消えたと思ったら、いつものところから獅童さん狐が登場ww

そして少し遅れて幸四郎さん狐も登場して、ダブル狐に。カオス…

幸四郎さんのほうは、きちんとした狐の衣装ではなくそこら辺にあったモフモフ纏ってみました、みたいなチグハグな格好。

そっか、衣装なかったからあり合わせのもので用意したのね。だから登場までに時間かかったんだ。笑

ダブル狐はどちらも捌けず、そのまま結構な長台詞を二人ユニゾンで喋ったり(すごい)、欄干をダブル50代が渡ったり(心配)。

 

宗之助さん演じる附師が囃子方に演奏させる新曲が、なぜか平井堅のPOP STAR。

絶妙な懐メロだし全世代知ってる曲…か…?笑

いい声の唄も入り、最初は狐たち、次第にみんな出てきてミュージカルのエンディングみたいにみんなで踊る。

曲はPOP STARなのに振りは歌舞伎の舞踊っぽいの、おもしろい。

最後に走って飛び出してきた新悟さんお久が、彌十郎さん(父)静を押しのけて染五郎くん義経にピタッとくっついててかわいいやらおかしいやら。

愛之助さん座元が柝を打って、鴈治郎さん頭取が蓬莱座の幕を閉めて、気持ちよく打出し。かと思ったら、再び舞台裏の場面へ。

 

幸四郎さん冬五郎が明日以降の二人狐に思いのほか乗り気だったり、白鸚さん琴左衛門も明日の舞台に出るつもりで発声練習していたり。

これが個人的にすごく好きだった。

明日からも芝居小屋の日常は続いていくんだよなあ…

幸四郎さんがひとりになって、パッと暗転して幕。

 

明るくなって、全員出てきてくれて三方礼。

カテコにも応えてみんなでお手振りしてくれて、本当に幕。

 

すっっっごく楽しかった!

舞台上で同時にいろいろなことが起こるので、目が足りなかった。

上手で橋歌兄弟、下手で高麗屋親子が同時に喧嘩してるなんて、どっち見れば?状態じゃん😂

あと何度か観劇できる予定なので、本当に楽しみ!!!

 


11月8日(観劇2度目)

観劇1回ごとに条件(入れる知識)を変えようと思っていて、今回は

という条件。

席も初日は1階上手前方、今回は3階下手だったので、見えるものが全然違った!

 

冒頭の「酔っ払った芝居」のくだりは、その後に出てくる小平次の芝居に繋がるのね。

鴈治郎さんも獅童さんも酔っ払いの芝居上手すぎ。ちゃんと目が据わってるww

 

染五郎くん番吉の父親が芝居上手くなかったと言われキレる幸四郎さん冬五郎、のくだりで頭取が「誰のこと言ってんねん!」ってツッコむの、初日からあったっけ?

より観客に伝わりやすくなった気がする!

 

冬五郎が番吉に阿南さんを説明する台詞は、初日とほぼ一緒。だけど1ネタ増えてた。

「東京さんしゃいんぼーいずの…口に拳が入る人…この間(口に拳入れるポーズして)見せてもらったら「痛い痛い」って言ってた…」

実際のエピソードだったらおもしろいな(笑)

 

小平次、初見のときはあまり好きじゃないと思ったけど、下手側で観ると愛おしくなってくる。これがいちばんの違いだったかもしれない。

獅子の汗かきタイムとか、座元に「俺は追い出したりしない」って言われて俄然やる気になっちゃう感じとか。

座元に手振りながら捌けていくのかわいかった!

 

儀右衛門さんが作り直す幟が、初日は白黒だったけど今回は3色くらいのカラーになっていて、より「作り直すの大変」感が出ててよかった!

これ、初日過ぎてから「やっぱりカラーにしたほうが」って意見が出て、それを小道具さんすぐに反映して作ってくれたってことだよね。

日常的なことなんだろうけど、そういう仕事にも敬意を表したくなる作品だなあ。

 

染五郎くんの早替り、前回はあまり気にしてなかったけどめっちゃ顔変わってる!

番吉の肌色と、虎尾(義経)の白塗り。どうしてるの、すごい!

吹き替えのところも改めて注目して見たらかなり器用なことしてた。

対談で三谷さんにベタ褒めされてた「ダメだ!」と落とすところも爆笑だった😂

 

亀井の分身、見本の鴈治郎さん幸四郎さんバージョンより橋之助さん歌之助くんバージョンのほうが豪華なのおもしろい。

息ぴったりでさすが兄弟、じゃなかった幼馴染!

舞台上で分身するときの照明が舞台裏まで漏れてくるのも、想像力掻き立てられて良い。

 

正体を知った状態で観ると、序盤から鶴松さんのお芝居がすごく意味ありげでニヤニヤしちゃう。

本当にいいお役だし、この役が鶴松さんでよかったなあ…

「爽やかな青年→敵→なんか憎めないヤツ」の変遷が素晴らしくて。

鶴松さんの現代劇が観たいよ〜!

男女蔵さん演じる半二の存在も大きい。なんで師匠のこと縛っちゃうのww

小平次が最初、間違って鶴松さんに挨拶しちゃうのもただのボケじゃなくて伏線だったのね。三谷作品すぎる…!

 

舞台上、基本的には同時にいろんなことが起こってるけど、竹田出雲との対峙のような大事なところではいつもの歌舞伎作品のようにメイン以外の役者が静止して、見せたい人物にちゃんとフォーカスがいく。

その使い分けが素晴らしいな。それまでわちゃわちゃしてた分、よりグッと引き込まれるというか…

 

トラブル続きで嫌になって「仮眠!」って花道で寝ちゃう冬五郎さん(かわいい)

番吉の父親が観に来てるという話に「覚醒!」の冬五郎さんに、笑いつつもジンとしてしまった。

息子くらいの年齢の弟子が親孝行したいと言ってるのを聞いて、叶えてあげたいと思ったのかな。

(自分の知り合いでもある)番吉の父に対する想いというよりは、番吉に対する親心のようなものなんじゃないかな、と思った。

 

冬五郎と儀右衛門の、花道でのやりとりも好き。

「絶対に間に合わない」と言う儀右衛門に、「そこをなんとか!」の冬五郎。

花道での二人芝居という状況も相まって先ほどの番吉とのシーンと重なり、親孝行したい番吉のために冬五郎が無理を承知で頼み込んでるように見えて、ウルッとしてしまった。

…からの儀右衛門「言ってみただけだよ!」めちゃくちゃ頼りになる〜!

 

愛之助さん座元が、要所要所でこのお芝居を引き締めてるように感じた。

竹田出雲に「帰す訳にはいかない」とバシッと言うところも、場面が本舞台に変わる前の「蓬莱座、吉例顔見世大歌舞伎!…」と高らかに言うところもかっこよかった。

あと「今日が初めてなんです」と言う附打くんに「そんなことお客様には関係あらへん」と言い切るのも。舞台裏を描いた作品でこの台詞が出てくるの、すごく好きだ…!

 

浅野さんの小さな、でも確実に笑いをとる芝居が本当に素晴らしい!

腰元役で舞台に上がると決まったときの振りの確認とか。

舞台でへたり込んでるとき、後ろからいきなり「ポンッ!」てかけられてびっくりしてるのとか。

イヤホンガイドのアフタートークで浅野さんについて「出がまずおもしろい。いつのまにかいて、ふと笑いが途切れた瞬間にスポットが当たったように見える」「声が小さいのになぜか台詞がクリア」と言われていたのも納得。笑

 

莟玉さん静は相変わらずめっかわ!

細かいところだけど、五十鈴ちゃんが打ち終わった鼓を舞台裏に返しにいくのがすごくいい。

「今日は黒衣がいない」「鼓が1つしかない」という設定が繋がって、ちゃんと五十鈴ちゃんが裏に返してから鼓の音が聞こえ始めるの。三谷さん…!

 

幸四郎さん、普段とても軽やかに踊るのに蓬莱座の舞台上にいるときはなんかとても体が重そう。

狐忠信がジャンプで階段上るところの重量感よ。笑

知らない人が観たら「ああ〜やっぱり50代」って思われちゃいそうだけど、違うんです!

本気出したらもっと軽々と飛べるんです!

(いや先月の21歳🍡と比べたらさすがにアレかもしれないけどね)

「久しぶりに舞台に立つ冬五郎」だからなんだろうな〜!すごい!!!

 

POP STARのダンス、イヤホンガイドによると「振りは松本幸四郎。舞踊名、松本錦升」とな。わー!教えてくださりありがとうございます!!!

前回は幸四郎さんばっかり見てたので他の方も見てみたら、ダンスに個性が出てて楽しい。

莟玉さん静、かわいすぎか!静御前の拵えのまま満面の笑みでピョンピョン踊ってるのずるい!かわいい!

ダブル静御前の真ん中でご機嫌そうに踊る義経こと染五郎くんもかわいくてかっこいい。こういうちょっと現代的なダンスをすると年相応の若者らしさが垣間見えて、なんだか新鮮だった!

 

舞台裏に戻り、「親父さん何か言ってたか?」と聞く冬五郎に番吉が「心配したけど何事もなく終わってよかったと言ってました」みたいなことを答える場面。

この「何事もなく」という笑いポイントを強調する染五郎くんの台詞回しが、なんかゾクっとするくらい幸四郎さんに似てた…

 

冬五郎さんの最後の台詞「芝居町の繁栄」みたいなこと言ってたね。

イヤホンガイドのアフタートークでは「義経千本桜の最後の台詞」と言ってたけど、全くピンときてない。

この場面すごく好きなので、ちゃんと理解したいな〜!

 

カテコでは初日も今日も、幸四郎さんと愛之助さんがお話してるところを観測!仲良し〜

ダブルカテコのときは幸四郎さんがPOP STARの振り踊ってた😂

(宗之助さんも。確か初日もやってたようなww)

 


11月14日(観劇3度目)

今回は幕見席上手側から。

観劇前には、前回の三谷かぶき『月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと)〜風雲児たち』の映像を鑑賞。

 

番吉、眉毛の形が変わってた。ちょっとアホっぽく見えて、キリリとした虎尾との差がより強調されてとてもいい!

 

冬五郎による阿南さん紹介は、最初の「東京サンシャインボーイズ」と最後の「ゴツい顔」は決まってて、その中で遊ぶ感じなのね。

今回は「1年に365回映画館に行ってて…雨の日も傘を持たないというこだわりがあって…こだわりと言えばね、アメリカに行ってカウボーイになったらしいのよ」どんだけ詰め込むの。笑

 

こっそり期待してた橋之助さん結婚ネタ。

小平次が捌けるとき、すれ違う天太郎に「ニヤニヤしやがって。めでてえことでもあったのか?」と酔っ払いながら絡んでた🙌

橋之助さん照れ笑いしながら獅童さんにペコペコお辞儀。おっきな拍手に応えて客席にも!

 

今回は3度目の観劇ということもあったし、幕見席だったので肉眼ではほぼ役者さんの表情が見えず、ずっと双眼鏡で観るならいっそメイン以外のところを見てみよう!と意識してみた。

(舞台の真ん中で声張ってる、そのときそのときの主役となる人たちのことをメインとしてます。)

 

高麗蔵さん演じる女方役者のあやめと、まだ正体を明かしていない鶴松さん半二が、下手側の長椅子に座って結構な時間二人でお話してた。

何話してるんだろ。

物語的には、あやめさんの出番削られた愚痴を半二が聞いてあげてる、というのがしっくりくるけど、そういう雰囲気じゃないんだよね。

むしろ半二の相談に乗ってあげてるような、包み込んでくれるような人生の大先輩のあやめさん。

この二人の組合せ、ちょっと意外だったけど好きだなあ〜

 

冬五郎さんの席も何度かガッツリ見てみた。附帳を実際に書くときと書くフリのときがあるのね。

実際に書くときはすでに何か書いてある見本みたいなのを写していて、一瞬だけ筆法伝授を思い出してしまった。

今回はそんなに意味のあることを書いてるようには見えなかったけど。笑

 

メイン以外のところで話すお芝居、内容はアドリブなのかな。きっとそうなんだろうな。

冬五郎さんと腰元3人が話してるところ(浅野さん骨つぎの拵えを待ってるときだったかな)で、幸四郎さんが何か言ったら腰元ズがみんな笑い出して。

幸四郎さんもちょっと笑ってて。

すぐに冬五郎さんの出番がやってきたのでほんの一瞬だったけど、いい場面見たなあ!

ちょっとそこだけ音量上げさせてください!

 

お久が髪剃られた!って虎尾に詰め寄るところ、剃られたことそのものよりも、自分がそこまで体張ってるのに本職の虎尾が「御簾が降りない」とか小さいことグチグチ言ってることに怒ってるんだよね。

その心意気を聞いた虎尾の「惚れ直した!」は、遊女であるお久の外見だけじゃなく内面まで見て惚れる瞬間で、とてもいいなあ。この二人にはずっとラブラブでいてほしい。

この後、メインは他の人に移るけど舞台の奥(本舞台に繋がる道)でも二人でお話してて、お久の頭のかゆいところを虎尾が掻いて(?)あげてて、ふたりとも笑顔で超かわいかった。

 

あとメインじゃない場面を観察してて改めて思ったのが、浅野さん良すぎ!ということ。

狐の百回りとか最後の踊りとか参加してくるのも(しかもキレキレ)めっちゃおもしろいんだけど。

ただ座り込んでるときも、冬五郎狐の芝居を見ながら(観客には背を向けたまま)狐手して、幸四郎さんに合わせて小さく一緒に芝居してたww

四の切の台本読み込んでるから全部頭に入ってるんだろうな。笑

 

何回か観てて感じた変化でいえば、今回の冬五郎さん狐の台詞回し、今までよりちょっとキュートめというか、役者っぽくないというか、いい意味で笑いを取りにいってる感があった。「なさりまするゥ」みたいな。

反対に、小平次さん狐が(途中まで)本物寄りになってた気がして、役者と役者じゃない人の対比がはっきりしててよかったな。

 

白鸚さんの声はやっぱり別格。

あの歌舞伎座の地下から響いてくるような豊かで深みのある声を「明日は出られるんだろうね?」とかで使ってるの最高。

 

あと本筋とは関係ないけど、「風雲児たち」観た直後だったので「男女蔵さん…!😭」となった。

半二、何も考えてなさそうだけど、ラストの展開を見るにあの師匠には思うところがあったのかな。

蓬莱座の附打さんとして、楽しくお仕事できるといいね!

 

過去2回、花道が見えないor台詞が聞き取りづらい席だったので、やっと役者さん見ながら台詞を聞けた。

二人狐+鳥屋から出てきた義経が揃い、義経が発するのは親子の再会を祝う台詞。

内容的には【本来の義経千本桜】の鼓(親)と狐(子)の再会、【義経千本桜(蓬莱座バージョン)】の狐の母(冬五郎)と狐の子(小平次)の再会がかかっていて。これだけで十分おもしろいのに。笑えるのに。

さらに、その染五郎義経の台詞を横で「ウンウン」と聞いてる幸四郎狐に爆笑してしまう。

ほんっとうに!すごいよなあ三谷幸喜…!!!

この場面、3回目の観劇で初めて内容をちゃんと認識できたので、次回以降もうちょっとしっかり観察したいところ。

 

歌舞伎音楽、好きなのに全然知識がなくて「こういうところがいい」と言語化できないのがいつも悔しい。

POP STARを演奏し始めるのは囃子方さんだけど、「君だけに〜♪」って唄で入ってくるのは竹本の太夫さん(だよね?)。

こういうコラボは珍しいのかなと感じたけど、どうなんだろ。

勉強します(ずっと言ってる)。

 

カテコは8日に観たときと同じような感じだったけど、ひとつ気付いたのはいちばん下手側にいる宗之助さん、幕が徐々に閉まってきて自分が隠れるか隠れないかギリギリのところでPOP STARの振りするというチャレンジしてる?笑

これは今後も観察していきたい。

 


11月23日(観劇4度目)

今回は6列目センター。今月いちばんいいお席!

観劇前に

を鑑賞。

あと、たまたま日程が被ってしまったのだけど当日に花道会セミナーで鶴松さんのお話を聞いたばかりでした。

筋書(写真入りを待ってた)も、このタイミングで購入。

 

番吉、お芝居変えた!

少し前からアホっぽく変えた顔とも合う、アホっぽい喋り方。

虎尾と同一人物には全く見えなくて、とてもいいと思う!

 

頭取が、元役者の番吉父をディスるところ、頭取の「芝居は大根やし」「不細工やし」に番吉、「だいこん!」「ぶさいく!」と合いの手入れてたww

喋り方も合いの手も、どなたかからのアドバイスなのか、ご自身の工夫なのか気になるところ。

 

今回、幸四郎さんと獅童さん(冬五郎と小平次ではなくて)が度々イチャイチャしてたような…

序盤で台詞かち合っちゃったか何かで笑ってたのはまあわかるんだけど。

その後、冬五郎が小平次にお水渡すところでも二人で何かコソコソ喋って笑い合ってた。

気になる〜!

 

宗之助さんが連れてきた囃子方がPOP STAR演奏するとき、幸四郎さん、締太鼓の方(筋書で確認したところ田中佐次郎さん)にめっちゃ絡む😂(前回もそうだった)

佐次郎さんだいぶ笑っちゃってるけど、曲の入りを見失わないのはさすが!

初日にはたぶんなかった、止められても締太鼓ひとりだけ演奏やめないというボケ、あれ幸四郎さんが吹き込んでるのかなww

 

今日は直前に鶴松さんのお話聞いてたこともあって、鶴松さんの細かいお芝居ひとつひとつも気になった。

小平次と顔を合わせる場面、挨拶のときだけじゃなく、鶴松さんの視界に小平次が入った瞬間に顔逸らして目合わせないようにしてた。

そっか最初から気づいてたのか…!

 

詳細は伏せるけど鶴松さんご本人がお話してた、舞台上から半二を呼ぶ場面の芝居のイメージは、言われてみれば確かにそう、か…?(イメージが抽象的すぎてよくわからん。笑)

 

あやめさんと二人でお話するところでは、手鏡を見ながらお化粧チェック(?)するあやめさんに鏡持たされてた。かわいい。

 

竹田出雲との対峙の場面は何度も鶴松さんガン見したので、今回は逆に他の人を見てみた。

そしたら、幸四郎さんに釘付けになってしまった…

さっきまで笑ったり慌てたりイキイキしてたのに、この場面だけ死んだ魚のような目をしてて…

竹田出雲に対して、怒りとも違う「無」、冷たいというか、温度のない表情してて、うわ怖…となって目が離せなかった。

 

五十鈴ちゃんに静御前の代役を、のくだりのとき、下手でめっちゃ嬉しそうにしてる赤福くんを見つけてキュン🫰

 

莟玉さん、かわいさとおもしろさが同居してるのがさすが。

偉そうな言い方になってしまうけど、センスがあるというか、勘がいいというか。

舞台上で浅野さんに「どうも」って感じで手挙げられたときの、困惑しながら手挙げ返す感じとか。

二人狐の暴走に翻弄されたり呆れたりするリアクションとか。

細かな芝居がいちいちツボ。そしてかわいい!

 

サンシャインボーイズ版のショウマスト観た直後だから、阿南さんにちょっとグッときてしまった。

切ない役だったんだよね…

そしてサンシャインボーイズで梶原善さんがやってた役に近いのが、今回の阿南さんのお役。

職人気質でちょっと恐れられてるけど、ノーとは言わない男。

「言ってみただけだよ〜頑張る!💪」かっこよかった!

 

浅野さんは今日も最高!

階段から落ちた冬五郎狐を助けに行くとき、外れた膝を治すのにキャップみたいに膝をキュッキュッとひねって、エアでなんか捨てたりしてたww

 

花道に二人狐と義経が揃う場面、義経もっとすごいこと(本物の四の切の台詞とか)言ってるのかと思ったけど「何はともあれ親子の再会」。

大したこと言ってなかった!笑

 

冬五郎さんの最後の台詞、配信の力も借りてようやく解明。(表記は間違ってるかも)

「四海太平、民安全。五穀豊穣の時を得て、穂に穂栄ゆる【芝居町】繁盛ならび、なかりけり」

義経千本桜の最後の詞章とのこと。

義経千本桜で散々遊び倒して、最後にあのシンとした空間での「穂に穂栄ゆる芝居町」はなんかグッとくるというか、原作リスペクトを感じてとても好きだ…!

 

カテコ、宗之助さんギリギリPOP STARチャレンジやっぱりしてるわww

 


11月26日(観劇5度目)千穐楽

千穐楽です。

8列目センブロ上手寄りのお席から。

今回は、先月歌舞伎座でかかっていた本物の四の切(Aプロ🍡)の配信を視聴してから観劇。

一度歌舞伎絶対続魂を観てしまうと邪念ばかりで笑ってしまうけど、真面目で素敵な演目です!

 

今回、千穐楽ということで皆さん弾けててモリモリスペシャルだったww

 

「若いうちは動いてナンボなのよ!」の冬五郎さん、振り切ってたな〜

それに応える番吉くんの首、というか全身をかしげる動きもだいぶ大袈裟(いい意味で)だった。笑

 

恒例の阿南さん紹介は、拳が口に入る、屁で音階が奏でられる、それで平井堅さんの曲を演奏してもらって、笑うかと思いきや泣いちゃった(?)

…何言ってるの??

 

お久ちゃん連れてきて無茶言う虎尾が、去り際に「な!頼んだよ!」と冬五郎さんの肩バシバシ叩いて冬五郎さんが「痛い痛い!」ってなるの好き。たぶん、月の途中から加わった演出。

普通に音聞こえるし、染五郎くん結構強めに叩いてると思うんだよねww(大好きです)

 

橋歌兄弟と高麗屋親子の喧嘩、いつも高麗屋ばかり見てしまうので今日は橋歌メインで。

本気のあっち向いてホイだった。

白熱しすぎて橋之助さんちょっと顔緩んでたし。笑

普通の兄弟の戯れ見せてもらったようで、なんだかありがたかった🙏

 

五十鈴ちゃんと附打芝助くんのやりとり、初めてちゃんと見た!

ほっこりかわいいかと思いきや五十鈴ちゃん意外と強めに指導してて笑った。

ふわふわなようでしっかり者だし、案外姉御肌なのかも。

 

半二()の鶴松さんと囃子方の廣太郎さんも二人で喋ってたな。

先日の花道会セミナーでも何度かお名前出してて楽しそうだったし、鶴松さんって廣太郎さん好きなのね。笑

素っぽい感じでしばらくお話してて、仲良さそうだった。

 

宗之助さん為右衛門が座元に新曲の提案するとき、ちょうど冬五郎さんが小平次にお水渡すところで、舞台上が同学年4人だけの空間になってることに気付いた!

なんか嬉しい。

 

前回も2人で笑ってたお水渡すところは、幸四郎さんが獅童さんを笑わせようと何かふっかけて、その結果2人とも笑っちゃってる感じだった。

獅童さんが「何すんだよ!」みたいな感じで笑いながら幸四郎さんの足ペシペシ叩いてて、ほんと同級生の戯れだったww

 

宗之助さん、今回だけ口に綿詰めすぎてた。笑

今までそんなことなかったのに今回は台詞聞き取りづらかったし😂

「タタタタタタッタ」の2回目、なぜか1オクターブ上げたし😂

静かに千穐楽楽しんでたな〜

 

酔っ払い小平次を舞台に送り出す冬五郎さんは「大丈夫、大丈夫、舞台こっちだよ〜」ってリアル酔っ払いの介抱だった。

 

幸四郎さん、やはり囃子方の佐次郎さんに絡む!

今回は鴈治郎さんも絡む。

鴈治郎さん、お団子の串渡して「これで叩いて!」って無茶振りして、普通に断られてたww

 

鶴松さん、莟玉さん、歌之助くんが3人でお話してるところも観測。ほっこりトリオ☺️

鶴松さん、まだ正体を明かしてはいないけど出雲側の人間だから他の人とは距離がある、というタイミング。

序盤に「僕はいいです(スンッ…)」みたいな素振りをしつつ、テンション上がってつい会話に混ざっちゃった!みたいな感じでお話してたのが上手いなあと思った!

 

虎尾に怒る髪剃られお久ちゃんが下手からサーッと滑って出てくるのおもしろすぎるww

先月の四の切では凛とした静御前を演じていた新悟さんがこんな姿に😂という違いでより笑えるのでホンモノ四の切(Aプロ)おすすめです。

 

もう一つ本物の四の切との違いという点では、本来役者さんが花道に出てきて言う台詞を、なぜか頭取が舞台袖から声張り上げて言うのも好き。「もぉしあげます!」ってやつ。

何のツッコミも説明もないけど、役者足りてないのかな。笑

「ござりまするぅ〜!」って語尾残しながら裏に戻ってくるところに、やっつけ感というか、やり慣れた仕事感を感じる。

3回目の、お久ちゃん駿河を舞台に出すためのアドリブ「駿河次郎火急の用にておいでにござりまする!静御前には四の五の言わずその鼓、渡して頂戴〜!」がまた、言い方も含めて最高😂

 

代役を打診されて一瞬だけ本物の狐の衣装を渡される冬五郎さんが「わぁあ!」って目輝かせてたの、ちょっとウルッときちゃった。

「私も役者だったらやってみたいなー!」って言ってたし、憧れてたんだろうなあ…

すぐに小平次に奪い返されちゃうけど。笑

 

廻り舞台が回るとき、上手と下手でそれぞれ落ちてくる黒い布を回収したり机と椅子を片付けたり、本当の舞台転換のお仕事を芝歌蔵さんたち大道具方役の皆さんがやってたのがとてもよかった!

 

あと、狐ダンスのときに黒御簾のほうを見たら、御簾内から巳太郎さんとか三味線の方たちが客席見て微笑んでるのが見えた。

普段他の演目で黒御簾を見てもせいぜい「人がいるな〜」くらいしかわからないけど、今回は誰がどんな表情してるかまでよく見えたのは、何でだろ。

単に照明とか座る位置の関係かもしれないけど、もし意図的に中が見やすい造りにしてたとしたらジンとしてしまう。

普段(お芝居では)顔が見えないけど、この方たちも一緒に舞台作ってる仲間だよ的な…?

 

狐の百回り、千穐楽スペシャル!

いつもより多めに回っております!って感じだった。

浅野さんがいつものタイミングで回るのやめたら2人ともまだ回ってて(息ピッタリさすが)、浅野さんまた回り始め、少しして再び様子伺うもまだ2人とも回ってて…って繰り返してた。

最後のほうヘロヘロで浅野さんちょっとかわいそうだったな。笑

結局、幸四郎さんが最後まで回ってた。

欄干に乗るとき冬五郎さんが毎回ヨロッとするのはお芝居だと思うけど、今回はあの超長い百回りの直後だからちょっとだけ本気で心配してしまった。

 

狐たちの暴走に手を焼く五十鈴ちゃんほんと好き。

めっちゃ台本飛ばした冬五郎さんへの「どこ!?」が、回を追うごとにわかりやすくなっててよかった。

小平次の「ははうえー!」への「(冬五郎さんと鼓を見比べながら)それはダメ!」も好きww

 

毎回書いてしまうけど、浅野さんはやっぱり最高!

舞台裏でも静かに台本読んでる瞬間を見つけてしまって、ああ本当に暇さえあれば読み込んでるんだな…と思った。

自分が腰元やると聞いたときの、嬉しそうな顔と「おもしろくなってきたっ♪」かわいい😂

膝をキュッキュッとひねってなんか捨てるのは、合う膝を探してる感じだった。

いくつか試してやっとハマった!さあ冬五郎助けに行くぞ!って感じ(?)

 

ラストの冬五郎さんの台詞、いい感じの大向うがかかって素敵だった。

「繁盛ならび」チョン\高麗屋!/「なかりけり〜」暗転

 

本編終わり、カテコ。

今日は千穐楽なのでトリプルカテコでした。やったー!

最後は万雷の拍手とともにスタオベ!

 

周りに促されて幸四郎さんが挨拶しようとすると、なぜか鴈治郎さんが一歩前に出て「え!」ってなる幸四郎さんww

愛之助さんの腕に掴まって崩れ落ちててかわいかった。

 

気を取り直して、幸四郎さんのご挨拶。

無事千穐楽を迎えることができました。

三谷さんは先ほどメッセージで、笑いで歌舞伎座のガラスを割ることを目標にしていたけど今回割れなかったのでまたやると言ってました。

そのときはぜひお越しください。

ご来場誠にありがとうございました!

 

恒例の宗之助さんギリギリPOP STARチャレンジ(と勝手に呼んでいる)、今回はお隣の鶴松さんを誘って一緒にピョンッて決めポーズしてくれた!

かわいい!おふたりとも!

この演目唯一の心残りは鶴松さんの踊りを見られなかったことなので、ポーズだけとはいえ本当に嬉しかった。

宗之助さんありがとうございます!

 

ということで、ついに終わってしまった三谷かぶき。

1つの作品を初日から千穐楽まで変化を楽しみながら見守るという経験が初めてだったのでめちゃくちゃ楽しかったし、私の歌舞伎沼の入口である三谷かぶきでそれができて最高に幸せだった。

1か月間ありがとうございました。

三谷さん、次も期待してます!!!

 

🦊終わり🦊

 

 

【染團】七月大歌舞伎2025『蝶の道行』の好きなところ

七月大歌舞伎 夜の部で観た舞踊『蝶の道行』がとても好きだったので、好きなところメモ。

  • ふたりが交互に見つめ/見つめられるところ。見つめられるほうが恥ずかしそうにする仕草かわいい。
  • 「野辺のたがへし苗代に」の後。ふたり同じ振りだけど、立役と女方で踊り方違うのが良い。
  • 小槇がお茶入れる仕草。お茶が見える!
  • 「こんな縁はから竿の」の後。袖を両手で持って顔隠す小槇ちゃんかんわいい!
  • 馴れ初め教えてくれるところ。初々しくてキュンキュンする。
  • 「その嬉しさと恥づかしさ」のところ!顔隠す寸前の助国がふわっと笑顔になるの大変よい!!!
  • 黒の着物から水色とピンクの着物になるところ。引抜お見事!背景も明るくなってめでたい。
  • 音楽が盛り上がるところはやっぱりワクワクする!「すでにお茶湯捧げけるは」と「櫓拍子揃へてヤアシッシ」
  • 「よいとや申す」の後の助国ソロパート。立役らしくてかっこいい。
  • 小槇が助国の手取ってひょいって放すところ。
  • 小槇が刀、助国が扇子を持って踊るところ。
  • 暗くなっていく舞台で、小槇が助国に刀を渡すところ。踊りの一部なんだけど、一瞬だけ素の染團っぽく見えてドキッとする。
  • 第三形態(リアルな蝶の着物)になった直後、ふたりが前後になって踊るところ。からの、三味線の♪ソラシ♭シ♭ドレレドレ♪みたいなフレーズ(わかりづらい)。激しい踊りが揃ってて、見てて楽しい。
  • 第三形態の小槇ちゃんは本当にずっと色気がやばい…
  • 三味線の♪レミレシ♭レレシ♭レシ♭♪みたいなところ。今度はふたりが横一列で踊る。ぴったり揃ってて楽しい、苦しい、つらい(情緒)
  • 「ひらりひらひら、ちらちらちら」楽しそうな歌詞なのに、内容は全然楽しくない…
  • ふたりが両手合わせて、そのまま回るところ。かわいい…
  • ふたりが舞台奥の高くなってるところ(?)に上がるところ。助国のシースルーの羽織をふたりで持つのが美しいし、上品な手繋ぎにも見える。小槇が先に進んで助国を引っ張っていくのが良い。
  • 三味線の♪シシシララソソ♪みたいなフレーズのリフレイン。序盤に出てきたときは2棹?で弾いててルンルンの曲に聞こえるしふたりも軽やかに踊ってて楽しそうだった。地獄の責め終盤は1棹で弾いてるしリズムも不安定で、同じフレーズなのに切なさを感じる…
  • 頬寄せてお似合いのふたり。\ご両人!/
  • 小槇が力を振り絞って羽ばたくけどガクンと力が抜けるとき、スッと表情なくなるところ(すごい)。
  • 小槇が助国の胸で泣くところ。胡弓?弦楽器みたいな音が聞こえてきたけど、小槇の泣き声に聞こえた…
  • 小槇の上に倒れ込む助国…

 

以下、歌舞伎座で観た直後の感想

1回目鑑賞後

※「小槇」の漢字が間違ってます。

2回目鑑賞後

 

今回は、市川染五郎さんと市川團子さん(通称「染團」コンビ)という大変「キャー!」な配役で、初日前からとても盛り上がっていたし私も劇場では「染團…!」と思いながら観た。

でも公演が終了してから何度も配信で観るうち、この演目(少なくとも今回の演出)そのものが好きだ…!となったので、他の出演者でも観てみたい。

少し検索したところ、昔、現幸四郎さんと七之助さんが踊られたとか… でもそのときはもっと暗い雰囲気だったとか… それも観てみたい!

あ、でももう少し大人になった染團の道行も観たい!!!

 

…という自己満足の記録でした。

 



三谷幸喜×大泉洋の傑作喜劇!『昭和から騒ぎ』

三谷幸喜さん翻案・演出、大泉洋さん主演の舞台『昭和から騒ぎ』を観ました。

もともと夜の部のチケットを持っていたのだけど、欲を出して昼の部も当日券チャレンジ。

運良く、昼の部も立ち見で観ることができました。

本当にありがたい…!

以下、ネタバレあり感想です。未見の方はご注意ください。

 

幕が開く前に始まる、音楽に乗せた軽妙な語りにとてもテンション上がった!

三谷さん演出のこういうの、大好き。

このアナウンスを誰がしているかは、舞台の最後に明らかになります。

 

シェイクスピアの原作を読んだことはないけど、この本であらすじを予習していました。

 

他の作品の予習のために買った本で意識していなかったけど、著者の河合祥一郎さんはこの作品の元になった『から騒ぎ』の翻訳者で、パンフレットに三谷さんとの対談も載ってた!

 

で、あらすじしか予習していないのに原作を語るのも恐縮ですが、ストーリーは原作に結構忠実だった。

登場人物の名前も、昭和の日本風にアレンジされてはいるもののかなり原作に則っていて、アレンジにクスッときて楽しめた。

竜星涼さん演じる役が「尾上 定九郎(おのえ さだくろう)」という、尾上菊五郎と斧定九郎を掛け合わせたような名前でとても気になったんだけど(元の名前を思い出せなかった)、昼の部終演後に確認したら「クローディオ」だった。「くろう」しか合ってない(笑)

 

あとは、高橋克実さんの台詞で「終わりよければすべてよし」というのもあって(シェイクスピアの作品名)ニヤニヤしてしまった。

たぶん、私が気づいていないだけで他にもシェイクスピア作品のオマージュが散りばめられてるんだろうな。

 

克実さんやっぱり、お上手だな〜!

3階のいちばん後ろまでしっかり声が届いて聞き取りやすかった、のはもちろん。

終盤の笑いを堪える演技が上手すぎて、何度もつられて笑ってしまった。

大河ドラマ『べらぼう』を毎週観ているけど、観劇中一度も「駿河屋さん!(べらぼうでの役名)」と思わないくらい別人だった。

 

松本穂香ちゃんは、かわいかった!

元からかわいいとは思っていたけど、テレビで観るより生のほうがかわいい。

特に終盤、お姉さんを冷やかすときの「口がきけないならキスでふさいで…」の台詞のとき、少し恥ずかしそうでもあり、姉の恋路にはしゃいでテンション上がってるようでもあり、本当にかわいかった。

 

それから、峯村リエさんがサラッと放つ何気ない一言がいちいちツボだった。

「ごめんね〜」とか「すごい」とか、文字にすると全然おもしろいこと言ってないんだけど、言い方なのか間なのか、本当におもしろかった!

大泉さん宮沢さんにもある早口の長ゼリフ、みなさん本当にすごかったけど、特に峯村さんのは内容も意味わからないものだったのにこんがらがらないのすごい。

舞台の峯村さん、久しぶりに観たけどもっと観たくなってしまったな。

 

そして、我らが大泉さん!!!

最高だった!やっぱり抜群におもしろかったな〜

ご本人もパンフの中で話しているけど、今回はシリアスなシーンがほぼない、ずっと明るい?というか小うるさい?キャラクター。

世間一般がイメージする大泉洋、に近かった。

私は大泉さんの普段の明るいイメージとシリアスな芝居のギャップが好きなので、そういう意味では少し物足りない部分もあったけど、だからこそ演じるのが難しいというのは納得かも。

壮絶な出来事があるわけでもなく、たった1時間45分のお芝居(物語上の時間軸でも1日)の間に主義主張がガラッと変わるのに、観客はそれを普通に受け入れられるという…

 

夜の部を観劇したときは、座席は最前列の上手(かみて)端っこでした。

最前列だったので、大泉さんの表情がよく見えた。

宮沢さん演じるびわこを最初から憎からず思っている感じもするし、気持ちが通じ合ってからの宮沢さんを見る温かい愛に満ちた眼差しにキュンとした…!

上手側だったので、蛍のくだりのときは、大泉さんがすぐ目の前!手を伸ばせば届きそうな距離にいた。

びわこの気持ち(嘘)を聞かされている間の変顔とか白目を至近距離で拝めてラッキーでした。笑

 

全体的にコメディなので、ザ・お芝居!というよりは、演じるほうもいい意味で肩の力を抜いて演じていた印象。

でも「定九郎を殺して」「劇団を追い出して」と、宮沢さんと大泉さんが問答するシーン、台詞にして数ターンだけだけど、本物のシェイクスピア作品?と思うくらい本気のお芝居してる瞬間があって(いや全部本気なんだけど)見入ってしまった。

 

演出面では、蛍!

長い釣竿みたいなものを使って蛍を操る大道具さん?が舞台上まで出てきちゃう演出、好き。

よーく見てたけど表情ひとつ変えてないのプロだなあと思った。笑

大泉さんが大道具さんを押しながら「何かに当たってる!」って言ってたけど、登場人物には見えてない設定なんだ。歌舞伎の黒衣みたいだなと思った。

 

登場人物が衝立ごしに会話するシーンが何度かあったけど、昼の部を3階下手(しもて)側から観て、これは夜の部(最前列端っこ)だと逆サイドが見えないかもと覚悟してた。

でも、いざ夜の部を観劇したら、役者さんがかなり衝立の手前(客席側)まで出てきて話してくれるからよく見えた。

大泉さん下手側にいること多かったけど、ずっと見えてて助かった!

 

それから、花火。

花火を見る登場人物たちが色とりどりの明かりに照らされて、とても綺麗だった。

最後の一発が客席まで打ち上がる(壁に投影される)のが、昼の部の3階立ち見ではよく見えて、ついでに花火に気づいて「わあ!」と顔を上げる1、2階席のお客さんの顔も見えて、まるで本物の花火大会みたいだった。

1時間45分立ち続けたご褒美みたいな光景だったな。

 

最後の役者紹介も冒頭と同じ軽妙な語り。

あー楽しかった〜!と拍手を送っていたら、「お相手は私、安住紳一郎でした」でびっくり。

会場からもどよめきが起きてた。

確かに三谷さんとも大泉さんとも親交があって、アナウンサーさん。これ以上なく適任だ。

最後の最後に嬉しいサプライズでした!

 

カーテンコールのご挨拶は、大泉さんのみ。

昼も夜も配信の宣伝をしていたけど、内容を微妙に変えていた。

昼「配信の日は私が駐在さんやるかも。克実さんがびわこやるかも。」

夜「昭和リア王をやります。3人の娘に私が振り回されてね…」

「また配信でお会いしましょう!」で幕。

夜の部のカテコのときは峯村さんが指ハートしてるのが見えて、かわいかった!

 

ダブル?トリプル?カテコ(いつも数え方わからなくなる)では、舞台中央に出演者がギュッと寄って手を振ってくれて、まるで家族写真みたいでほっこりした。

大泉さん全方位に投げチューしてたな。笑

 

脈絡なく書いてしまったけど、これにて感想終わり。

久しぶりに爆笑できて、とっても楽しい観劇体験でした!

 

 

 

芝居好きに刺さりまくる『木挽町のあだ討ち』

四月大歌舞伎『木挽町のあだ討ち』を観ました。

とっても好きな作品で、結局3回も観てしまった…!感想です。

※ネタバレしています。公演は終了しましたがこれから配信を観る方、小説を読む方はご注意ください。

 

まず、季節の移ろいがとても美しく描かれている作品だなと思った。

最初の伊納家の場面では、桜が咲いていたりホトトギスが鳴いていたりと春を感じる。

次の、伊納菊之助市川染五郎さん)が森田座を訪ねる場面は夏。

森田座裏手の、栄二(澤村宗之助さん)とほたる(中村壱太郎さん)が衣装を干したりする場面は秋。

そしてやっぱり日本人にとって仇討ちと言えば冬なのか、仇討ちの場面では雪が降ってた。

 

美しいのと同時に、季節の巡りで時間の経過を表現しているのもいい。

伊納家で最初の事件が起きる前、菊之助はお母さんに「この前髪もあと一月(=あと1か月で元服)」と話していたけど、実際には季節が一巡しても菊之助の前髪はなくなっていなかった。

事件のせいで元服できなかった、とかあるのかな…

 

伊納家の場面から森田座前の場面への転換、振り被せられる染五郎くん題字の幕がかっこいい〜!

少し物語が進んだ後に作品タイトルが映し出される演出、現代劇ではよくあるけど、それがこの幕なの歌舞伎らしさもあってめちゃくちゃ好きな演出だった。

 

森田座前の場面、木戸芸者として呼び込みをするのが市川猿弥さんと中村虎之介さん!

お二人とも喋りが上手い方なのでとても様になる。

実際にある芝居の台詞(?)で客引きしていてとてもいい。

もっと後には、篠田金治(松本幸四郎さん)が忠臣蔵の舞台で使われる小道具を紹介する場面があるけど、ここで急に黒御簾音楽が流れる。

もしかして実際に忠臣蔵で使われる曲とかなのかな?

こういう仕掛けが盛りだくさんで、歌舞伎をよく観る方こそ楽しめる作品なんじゃないかな。

もっと経験積んでからまた観たい!と思った。

 

楽屋口の場面で、役者役の中村橋三郎さんや中村橋光さんを発見!台詞あって嬉しいねぇ。

後の空舞台の場面では彼らと、染五郎くんまで参加して、金治たちの会話劇の後ろで大道具で遊んでてかわいかった。

 

壱太郎さん演じるほたる、とてもいい。

第一幕では肉食系女子のようなキャラで、言動に笑えるポイントが多かった。

第二幕には、この人もきっといろいろあったんだろうな…と感じる場面が多くて、特にみんなで菊之助に仇討ちをやめるよう説得するシーンがアツかった。

観劇1回目は上手前方の席で観ていたので、壱太郎さんの「ふざけるな!」を真正面から浴びてビクッとなりました。

ほたるの台詞「現(うつつ)を忘れる、それが芝居の力さ!」がすっごく好き。観劇を趣味にしてる人はみんな「そうだそうだ!」と思ってると思う。

 

この作品には素敵な台詞が多かったな。

何度か出てくる「盲亀の浮木優曇華の花」。

百年に一度だけ海面に顔を出す盲の亀が流木のうろに顔を入れるくらい、三千年に一度だけ花を咲かせる優曇華と同じくらい。

仇討ちの相手に出会えるのはそれくらい低い確率。

「私たちが出会えたのも優曇華の花じゃないのかい?」と聞くほたるに「そうです」と素直に答える菊之助が好き。

大好きなみんなに出会えた奇跡をちゃんと噛み締めてる。

 

金治は、第一幕では普段の幸四郎さんのイメージとは少し違う、ちょっとミステリアスな人物。

菊之助の仇討ち話を聞いて吐き捨てるように言う「くっだらねぇな」に、冷水を浴びせられたような気分になった。

この発言から、第二幕で「俺が仇討ちの筋書を書いてやる!」といきいきし始めるギャップがたまらない。

身内のような存在を斬らなければならない、それが武士だと言うならそんなものは捨ててしまえ。

金治のテンションは第一幕と第二幕とでガラリと変わるけど、立場は一貫しているんだよね。

 

幸四郎さん演じる金治が菊之助に「お父上が受けなかった盃、受けてはくれないか」と誘う場面があった。

舞台上では描かれなかったけど、金治と菊之助二人でお酒飲んだのかな!?

染五郎くんが20歳になってすぐのこのタイミングでこんな台詞聞けたのアツい〜!

 

菊之助と作兵衛(市川中車さん)の再会の場面では二人が抱き合ったりして、すっかり仇討ちのことなんて忘れたように再会を喜んでいてほっこり。

だからこそ、その後に明らかになる真相にやり切れなさを感じてしまい辛い。

中車さん、ひとつのシーンの中で似たような内容の台詞があっても言い方を変えていて、コミカル(笑っていいところ。「ありがたいなあ!」とか)と、シリアス(真剣に聞くべきところ。「それが伊納の家に生まれたあなたのさだめなのです!」とか)の緩急が素晴らしかった。

一度は仇討ちの覚悟を決めるも「おかしいおかしい!」と悩んでしまう菊之助

「身内のような」作兵衛への情と、両親や国への思いで揺れる演技が繊細で…

作兵衛が去ってから月を見上げて「私はいかがいたせば良いのでございましょうか…」と問うとき、瞳が揺れているのが見えて胸が苦しくなった。

この作品、全体的に染五郎くんの顔の良さが100%いい方向に説得力を生んでいてすごい。

 

坂東彌十郎さん演じる久蔵のお家のシーンでは、白いごはんをモリモリ食べて「おいしい…」と泣き出す菊之助

自分のお家では当たり前のように女中さんが白いごはんを盛ってくれていたけど、旅する中でそれが当たり前ではないことに気づいたと。なんていい子なの…!

道端で息絶えた人と、それに慣れている道行く人。その光景に衝撃を受けた菊之助

菊之助、お父さんの件では辛い思いをしたけど、普通に武家の子として大人になって家を継ぐよりも遥かに貴重な経験をしたよね。

強さだけでなく優しさも持った素敵な武士になるんだろうなあ。

「この子死ぬ気だよ」と見抜く与根さん(中村雀右衛門さん)は、さすが男の子を育てていたお母さんなのかも。

久蔵さんと与根さん夫婦は、亡くなった息子と菊之助を重ね合わせる瞬間もあるけど、菊之助自身のこともきちんと大切に思っているのが伝わってくる。

菊之助の仇討ちについて夫婦で何度か言い合いのようになるのも、菊之助を思うからこそ。

ふたりの思いを受け止め「父の情愛、母の慈悲…」と語り出す菊之助。もう涙が止まらない。

台詞の中で徐々に声が力強くなっていき「菊之助もかくありたい、かくあらねば」には確かな決意が見えた。

染五郎くん、本当に素晴らしかった…!

 

菊之助のことが大好きなみんなが空舞台に集まる場面は、ものすごい「愛」のシーンだった。

大人たちが、時にぶつかり合いながらも必死に菊之助の仇討ちをやめさせようとする。

すべては菊之助を人殺しにしない、業を背負わないために。

家族でもないみんながこんなにも菊之助のことを思っている、それだけで泣けてしまう。

みんな菊之助の、素直で誠実なところに惹かれたんだろうなあ。

この場面、菊之助もいいけど他の登場人物もすっごくよかった!

吉原で生まれ育った一八(猿弥さん)、花魁と恋仲だった(?)金治、焼き場で育ったほたるなど、それぞれのバックボーンが垣間見えて…

作中で描かれなくても登場人物にはそれぞれ人生があって、辛い思いもたくさんしてきただろうけど、その分優しくなって菊之助に親身になるのだろうなと。

鶴屋南北とその息子が森田座に…のくだり、きっとここで自棄になりそうだった金治をまたやる気にさせたのは菊之助なんだ。

鶴屋南北には書けない仇討ちの筋書を書いてやる!」という幸四郎さんの目、とてもキラキラしてた。

久蔵さん夫婦然り、菊之助も気づかないうちに森田座のみんなのことを救っていたんだなあ…

幸四郎さん金治の「これが真(まこと)の、木挽町のあだ討ちだぜ!」かっこよかった~!!!

 

そして、仇討ちの場面。

雪で覆われた真っ白な森田座と、そこに現れる菊之助の真っ赤な振袖の対比が美しい。

菊之助と作兵衛が再会し、作兵衛の子分も交えての立廻りは、目にも鮮やか。

菊之助の動きに合わせてふわっと舞う雪もとても綺麗だった。

でも見惚れている暇もなく、回り舞台が回転したと思ったら森田座の中の様子が見せられる。

ここ、ほんの数秒のことなのに金治が考えた「木挽町のあだ討ち」の仕掛けがすべて伝わるのがすごい。

金治のアイディア素晴らしい!そして、とても幸四郎さんっぽい。

クスッと笑えて、でもみんなハッピーになれて。

第二幕は特に、当て書き?と思うくらい幸四郎さんらしいお役だったな。

 

菊之助が作兵衛の首(仮)を取ったときに、金治とうなずき合うのがすごく好き。

このふたりの関係性いいなあ。親子とも師弟とも似てるようで少し違う、信頼と情で繋がっている関係。

「好き」の気持ちが「金治→→→→→←菊之助」って感じなのもリアルで良い。笑

 

この仇討ちの場面、主要な人物はほぼみんな集合しているのに虎之介さんがいない…と思っていたら、この後に大事なお役目が!

読売として、客席の間を練り歩きます。

「さあさ、買ったり買ったり〜!」

アドリブっぽい台詞が多くて楽しかった。

「さっきまで森田座で客引きしてたろって?それを言っちゃ駄目だよ!あれだけじゃ食っていけないんだ」

「松鯉さんのようには喋れないよ!」(5日)

「篠田金治を知らない?幸四郎に似てる人だよ!」

「東洲斎、写楽しゃらくしゃらく…」

「イープラスいーぷらすいーぷらす…」(12日貸切公演)

「偉い先生の受け売りなんですけどね。渡辺保はいねえよな!」

「今月ほんとにいねえよな?」(25日千穐楽

「(瓦版を配りながら)学校の先生じゃないんだから。1枚取ったら横に回してください〜」

「今日は早く帰って来いって言われてんだ。わ〜!(残った瓦版を宙にばら撒く)」(25日千穐楽

 

初回は前から2列目で観劇していたので、虎之介さんと何度か目が合った!

目力強いから同時に3人くらいと目合わせられそうだけど。笑

すぐ近くの人が瓦版をもらっていて、羨ましかったな〜

 

そしてそして、ラストの菊之助旅立ちの場面。

決して派手ではないけど、涙なしには観られない。温かくて清々しい、大好きなシーン。

菊之助が無言で作兵衛の顔を見て安心したような表情するの、ほんっとうによかった…

最初から観てきた中でいちばん柔らかい笑顔で、あの表情を見ただけで「よかったねよかったね…!」と涙が出てくる。

 

この場面も素敵な台詞が多かったな。

菊之助の「芝居とは本当に、良いものですね」

芝居を生業にする人、それもこの先何十年も芝居に携わるであろう20歳の染五郎くんからこの台詞を聞けたこと、本当にジンとしてしまった。

金治の「生きていこうな、お互いに。何があっても」

この作品は菊之助が旅立って綺麗に終わるけど、故郷に帰った菊之助にはこの先数多の困難が待ち受けているはず。

久蔵さんのお家で打ち明けたように「あのとき父に斬られていれば…」と思ってしまうこともあるかもしれない。

そんなときに金治のこの言葉を思い出して思いとどまったりするんだろうな。

金治もまた、鶴屋南北の移籍やら何やらで苦労するに違いないけど、菊之助の真っ直ぐな瞳やこの木挽町のあだ討ちの一件を思い出して、自分にしかできないことを見つけていくんだろうな。

そんな未来に思いを馳せてしまう、大好きな台詞だった。

 

菊之助が旅立ち、残された森田座の面々が台詞を繋いでいく。

最後は作兵衛の「守らせ給え、あの寒菊を」

これを泣かずに聞ける人がどこにいるだろうか…

作兵衛は伊納家の下男だったから菊之助への忠心を持っているけど、もう下男ではないしもはや「作兵衛」でもないし、きっとお互いのために今後会うこともないんじゃないかと思う。

菊之助の無事を祈る姿には、主従ではなく深い愛を感じた。

中車さん、本当に泣かせてくる…

 

菊之助を見送る金治、というか幸四郎さんは泣いていて、2列目で観たときには流す涙や赤くなった目も見えて、胸がギュッとなった。

役としての金治の人生はもちろん、20歳になった息子が立派に主役を演じて花道を引っ込んでいくのを見送る幸四郎さんの思いまでも勝手に想像してしまった。

とにかくあの泣き顔に心掴まれてしまって、毎回目に焼き付けようと必死だったな。

世の中には、あんなに美しく泣く人がいるんだなあ…

この場面、猿弥さんも泣いてて普段とのギャップにズキュンときたし、佐野川妻平(中村種之助さん)の上方役者らしい無邪気な笑顔にはホッとした。

 

無事に菊之助の見送りが済むと、幸四郎さんがまだ涙に濡れた瞳で「さ、それぞれの仕事に戻ろう!」と笑顔を見せて幕。

多幸感…!

「現を忘れる」芝居の終わりにふさわしく、観ているこちらまで「現実でも頑張っていこう」と前向きな気持ちにさせてくれる幕切れだった。

 

心に響く台詞が多かったのは、原作が小説だからかな。

それに加えて作者の永井紗耶子さんが歌舞伎ファンらしいので、ファン目線で芝居の素晴らしさを表現している台詞(「現を忘れる、それが芝居の力さ!」など)が多かったように思う。

今月は何かと忙しくて原作を読んでから観劇するのは早めに諦めていたけど、落ち着いたらゆっくり読みたいな。

 

染五郎くん20代一発目の記念すべき作品、本当に素晴らしかった。

優曇華の花」の奇跡でこの作品に出会えて幸せでした!

 

 

歌舞伎でやる意味を感じた『きらら浮世伝』

猿若祭二月大歌舞伎『きらら浮世伝』を観ました。

2月に舞台で一度観たものの感想を書いている途中で放置、4月に配信で観て感じたことを適宜追記した感想です。

37年前に中村勘三郎(当時は勘九郎)さん主演で上演された際の戯曲を事前に読んでいたので、それとの比較も少しだけ挟みます。

playtextdigitalarchive.com

 

主人公の蔦屋重三郎を演じるのは中村勘九郎さん。

勘九郎さんの江戸っ子の演技は本領発揮!という感じでとても好き。

早口の長台詞でもなぜかちゃんと聞き取れるのは、勘九郎さんの上手さなんだろうな。

 

恋川春町を演じるのは中村芝翫さん。

初演版の戯曲を読んで春町はかなり重要な人物だと思っていたので、芝翫さんどうなのかなーと気になっていた。

決めるところはしっかりと決める温かい江戸のおじさんという感じで、よかったと思う。

第二幕冒頭の芝翫さんの台詞「地獄の中でも笑う夢を見て、人は生きていくんだ!」には痺れた…

 

吉原大門の前で、蔦重が春町に捲し立てるように女郎を紹介するシーン。

勘九郎さん、「抱き心地がいいのは大和屋のやっちゃん(※)」とか言った?笑

聞き流しかけていたけど客席から笑い声が起こって、え、今なんて言った!?と思い返すと「大和屋」と言ってたような…

しっかり聞いておけばよかった〜!

※配信で確認したところ「大和屋の彌光ちゃん。あの娘ポチャポチャッとしてかわいいんだ」と言ってました(笑)

 

お篠を演じる中村七之助さん。

相変わらずお美しかった…!

高級遊女なので衣装も所作も優美でお人形さんみたいなんだけど、物語が進むにつれて感情があらわになってきて、人間らしさが出てくるのがよかった。

 

中村米吉さん演じるお菊は、かわいい。

第一幕の座敷でのシーン、お菊が想い人の遺体を前に泣き崩れるのをお篠が支えてあげていて、2人がまるで姉妹みたいだった。

遊女は、好きな人が亡くなっても弔いすらできなかったんだな…

みんなでお菊ちゃんに会わせてあげよう!と力を合わせるこの物語はとてもよかったけど、実際には会えないままの人がほとんどだったんだろうなと思うと、胸がギュッとなった。

このときから伝蔵がお菊に優しくて、戯曲でこの先の展開を知っていたからキュンキュンした。

恋愛感情かどうかはわからないけど、伝蔵はこのとき既にお菊のことを大切に思ってたんだろうな。

この2人の恋模様を描いたアナザーストーリーが見たい!

 

そんな伝蔵(後の山東京伝)を演じるのは中村橋之助さん。

伝蔵は青年のお役なので、演じる橋之助さんの声が若い!動きも若い!

1月に観た太十の武智光秀のときはふと〜い声を出していたのに伝蔵は爽やかで、別人みたいだった。

やっぱり歌舞伎役者さんすごいな〜

 

その後伝蔵と結婚したお菊ちゃんのことを「かわいいじゃねえか」とナンパしていたのは大田南畝

演じる中村歌六さんは米吉さんの実のお父様。

「人妻ですからね!」と伝蔵に怒られていて笑った。

 

初鹿野を演じる中村錦之助さん、イケメンだった…!

初鹿野は一応敵役ではあるけど、ただの悪い人ではないと思う。

この第一幕では特に、蔦重や画家の卵の勇助に「無芸の旗本にできるのはこれくらい」とお金を渡して「才ある者たちとおもしろおかしく暮らしたい」と言うのが印象的。

初鹿野も本当は絵や戯作などの文化が大好きだったんだよね…

 

そんなイケメン錦之助さんのご子息である中村隼人さんは、やはりイケメン。

隼人さんが演じる勇助(後の喜多川歌麿)、絵への情熱がものすごかった。

この作品の中では、いちばん芸術家肌の人物だった気がする。

名のある画家の弟子だからチヤホヤされてばかりだったのに蔦重には絵を否定されて、怒りながらもかえって燃えちゃうのが芸術家だな〜って感じだった。

続く勘九郎さんの「絵破いちゃってごめんねえ!」めっちゃ好き(笑)

 

「勇助がいい絵を描くためならなんでもする」と言う蔦重に勇助が求めたのが「お篠を抱かせてくれ」だったの、蔦重の気持ちを見透かしていて試したのかな…

動揺する蔦重、でも覚悟を決めてお篠を呼び、「勇助を頼んだ」と去る…

ここ、心の動きが手に取るように伝わってきて苦しかった。

何よりお篠に「俺が呼んでるって言え」と、お篠の想いもわかっていながらそれを利用するようなことをする蔦重の葛藤。

そこまでしても勇助に絵を描いてほしい蔦重の思いの強さがよくわかるシーンだった。

 

橋之助さんを筆頭に、成駒屋三兄弟みんなよかったな。

次男の中村福之助さん演じる左七(後の滝沢馬琴)は真面目?な役。

真面目すぎるがゆえにおかしなことを言って周りから浮いている感じがおもしろかった。

おもしろかったけど、出番あまり多くなくて寂しい〜!と思ってしまった。

初演版からあまり目立つ役ではなかったので仕方ないけど、せっかくの福之助さんなのに少しもったいなかった気が。

三男の歌之助くんがとってもいい役だったから、よりそう感じてしまうのかも。

でも要所要所で爪痕を残していたし、メインのシーンでなくても左七がそこにいる意味を感じる芝居をしていて、素敵だった。

 

三男の中村歌之助さんは、鉄蔵(後の葛飾北斎)役。

初演の戯曲を読んでいる最中からワクワクしっぱなしだったけど予想以上にハマり役だった!

血気盛んで喧嘩っ早い若者だけど、人のことをよく見てる。

好きなことをして生きる勇助や伝蔵が羨ましくて、そうなれない自分にイライラむしゃくしゃしたり、その殻を破って成長する過程の演技が素晴らしくてもう…

そんななのに、春町、いや芝翫さん(実父)との幕前のやりとりはほっこりかわいかった…!

春町「飯行こう、どこなら一緒に行ってくれるんだ」

鉄蔵「喫茶youなら」

春町「オムライスか、そのあと歌舞伎座いこう」

鉄蔵「行かねえよ」

春町「お前最近俺に冷たいんじゃないか?」

鉄蔵「もう子どもじゃねえんだよお!」

最後のほう2人とも変な走り方しながら捌けていって、会場中が大爆笑。癒された。

 

江戸っ子、すぐ喧嘩始めるのおもしろい。

自分以外の人がメインの喧嘩だったのに舞台の端でウォーミングアップみたいに大根ぶん回してたかと思いきや急に喧嘩に割り込んでいく鉄蔵くんが愛おしかった。

喧嘩のシーンでなんだか盛り上がってた箇所、プロレスだったんだ。こちらの動画を観て知った。笑

www.youtube.com

 

蔦重が日本橋に耕書堂を開いた!と盛り上がるシーン、勘九郎さんの口上が流れるようでかっこいい。

一本締めも、こういうとき参加していいものか迷うけど勘九郎さんがしっかり客席にも振ってくれたので心置きなく参加できて嬉しかった。

勘九郎さん、こういう巻き込み力が高くていいな~!

 

第二幕では、お待ちかねの中村鶴松さん登場!

演じるのは、大阪から来た与七(後の十返舎一九)。

鶴松さん、ほのぼの担当という感じで、そこにいてくれるだけで和む。

関西弁もかわいかった!

 

春町先生の切腹シーンは、大きな満月と真っ白な裃が印象的。

初演にあった、初鹿野が躊躇する描写がなくなってたのは少しだけ残念だった。

初鹿野サイドも観たい。彼にもきっと葛藤があったと思うんだよ…

だって序盤の座敷の場面では「自分には才能がないからこれしかできない」と蔦重たちにお金をあげるような人だよ?

完全なる悪ではないという印象なんだよね…

春町先生の「おまえたちは自分のために命を使えよ」という台詞が沁みた…

 

お篠の家のシーンは、手を握る春町先生に気づいた七之助さんの表情がとてもよかった。

安心したような、泣きそうな顔。

春町先生がお篠にとって大きな心の支えになっていたことがよくわかる…

 

美人画が駄目なら役者絵だ!と気づく蔦重のシーン、この作品を歌舞伎でやる意味や心意気を感じて胸が熱くなった。

蔦重が歌舞伎の屋号を捲し立てるところ、たくさん詰め込んでたけど、いくつ言ってたんだろ。

 

それから登場人物としては、忘れちゃいけない黒衣のみなさん!

名もなき彫師や刷師として序盤からずっと蔦重たちの近くにいるけど、この場面でついに喋ったかと思うと頭巾を外して顔を見せる。

ここ、すっごく興奮した!

その後ひとりずつ六方で花道を引っ込んでいくのも本当によかったなあ。

なかなかそんな機会ないであろう、歌舞伎の三階さん(お弟子さん)たち。

「見せ場あるから観にきてよ!」とか親御さんに連絡した人もいるのかな、とか想像してしまって、舞台でもボロ泣きだったし配信観ても何度でも泣けた。

勘九郎蔦重が「お上の野暮を俺たちの粋に、変えてやろ〜うぜ〜!」と超かっこよくキメた後に彼らを煽るのもよかったし、彫師・刷師の親分役の嵐橘三郎さんと中村松江さんが彼らを横で見守ってるのもよかった。

トリに親分たちが2人で見得して引っ込むところもかっこよかった~!

 

中山富三郎のシーンは、勘九郎さんがずっと楽しそうだった。笑

蔦重から富三郎、また蔦重への早替り。衣装も全然違うし、富三郎のときは顔も白塗り。

おもしろシーンだけど、この短時間での早替りは勘九郎さんとそれを支える皆さんの力がなければできないこと。すごいものを観た!

「役者は顔が命」という富三郎に、「顔が命の芝居より肚が命の芝居を見せていただきてぇものだなあ!」と言い切る福之助馬琴、かっこよかった。

ここでもこの作品を歌舞伎でやる意味を感じられたなあ。

初登場時のお堅い左七よりも人間らしくなっていて、蔦重たちと過ごすうちに馬琴にもいろいろ変化があったのかなと思った。

 

正体不明の絵師、写楽を罰すると言う初鹿野に、それぞれ互いをかばい合うように「写楽は自分です!」と名乗りを上げるところ、アツかったなあ…

メインキャストだけでなく彫師・刷師たちも名乗り出るのがよかった。

そうだよね。絵師たちの文化を支えたのは、後世に名前すら伝わっていない、たくさんの職人たちだったんだよね…

 

洒落で初鹿野を追い払ってみんなで笑い合ってるときに、ひとりだけブチギレてる歌之助北斎

大人たちは現実を見て、悔しいながらも上手く折り合いをつけようとするけど、若い彼だけは笑わない。

まっっっすぐな鉄蔵くん…

「おまえら一生懸命、あんないい顔して作ってたじゃねぇかよ!」で涙腺崩壊した。

怒ってるけど、誰よりも写楽の絵が、蔦重が、みんなのことが大好きなんだね…

 

納得いかないなら写楽の絵を破れ、写楽を超えろという蔦重。

蔦重はこの物語の主人公ではあるけど、その仕事は才能を発掘し育てるというプロデューサー業。

脇役的な面もきちんと描かれているのが嬉しい。

歌之助くんに続いて福之助さんと鶴松さん、さらには彫師・刷師のみなさんまで写楽の絵を破いて、みんなで見得するのがかっこよかった~!

勘九郎さん、隼人さん、橋之助さんの大人組はそれを後ろで優しい顔して見守る。

大人組が歩いてきて若者組の肩をぽんってするのが、「次はおまえたちだぞ」って感じでとってもよかった。

 

最後に蔦重とお篠が二人きりになって感動的なシーン。…かと思いきや蔦重、まさかの写楽の大首絵に!笑

舞台に残った七之助さんは、同じ写楽の絵をちゃんと観客に見せてくれる。

あれだけ泣かせても最後に笑わせてくれるのがさすが中村屋!好き。

 

笑い泣きして、多幸感のある終わり方でした。

 

勘三郎さんありきで作られた、きらら浮世伝の蔦重というお役。

大幅に書き直しされているとは言え、実のところもっと勘三郎さんに近い蔦重になるかと思ってた。

でもそんなことはない、勘九郎さんの蔦重だった。

江戸っ子がよく似合うし、七之助さんとのシーンのコンビネーションは最高だし、本当に素敵な蔦重だった。

観られてよかった!

 

 

【夜B】人生初!号泣した『仮名手本忠臣蔵』

歌舞伎に興味を持ち始めて約5年、ついに名作『仮名手本忠臣蔵』を観たので初観劇の感想を残しています。

この記事では夜の部(Bプロ)について書きます。

昼の部(Aプロ)の感想はこちら。

nonnopan.hatenablog.jp

 

 

 

五段目

夜の山崎街道で、猟師になった早野勘平(中村勘九郎さん)と元同僚の千崎弥五郎(坂東巳之助さん)が出会う場面。

弥五郎、周囲をはばかりながらも地面に書いて仇討ちの計画を教えてくれる。

勘平は主君の一大事に居合わせなかったばかりかそのまま姿を消したというのに、弥五郎優しいな…!

この場面、それから七段目の廓の場面もだけど、舞台上で本物の火を使っていて驚いた。

それも結構頻繁に。

舞台上で火って使っていいんだ…!

 

松本幸四郎さんがブログでこの場面のイノシシの話をしていたから、気になってイノシシをよーく見てしまった(笑)

「とてもしんどい」「花道から出てきて舞台を一周し上手に引っ込むなんてとても無理」とのこと。

ameblo.jp

中腰だし、結構なスピードだったし、すごい体力が必要なんだろうなあ。

どなたがやってたんだろ。お見事でした!

 

続いての与市兵衛殺しの場面。

あの藁の中から手が出てくるとは知っていたけど、暗闇の中で真っ白な手がニュッと伸びてくるのは想像以上に不気味だった。

手の持ち主、斧定九郎が登場。

演じるのは中村隼人さん。

隼人さんが悪役って珍しいなと思ったけど、イヤホンガイドによると定九郎は白塗り(男前)のお役で、二枚目の役者がやることが多いとのこと。納得。

今までに観たどの隼人さんよりも色気があった気がする。「色悪」っていい言葉。

撃たれて死ぬときは白い肌と赤い血の対比が怖いながらも美しくて、その後倒れている間も不気味なんだけどなぜか気になる色気みたいなものがあって、廻り舞台が回転して見えなくなるまでずっと隼人さんを目で追ってしまった。

 

六段目

おかるの実家の場面。

おかるの母おかやがすっごくよかった!

演じる中村梅花さんは初めて拝見したのだけど、評判よかったのがわかるなあ。

どこにでもいる、家族思いのちょっとおちゃらけたお母さんという感じ。

女衒の源六(片岡松之助さん)との掛け合いはコミカルで笑えたし、娘のおかる(中村七之助さん)や娘婿の勘平とのやりとりはすごくリアルで親近感を覚えた。

この場面、前半が軽ければ軽いほど、親しみを感じれば感じるほど、後半のシリアスさが際立つようになってる。

ごく普通の家族のやりとりを見て親近感を覚えてしまっているものだから、母と娘の別れのシーンでは自分の母を思い出してボロボロ泣いてしまった。

夫が娘婿に殺されたと思って勘平を責めるシーンは、真相を知っててもおかやの気持ちを思うと悔しさやりきれなさに苦しくなる。

このシーン本当につらくて、早く勘平の無実に気づいて!あ、でもそのときには勘平は…と葛藤しながら観てた。

 

やがて不破数右衛門中村歌六さん)と千崎弥五郎が訪ねてくる。

2人とも、声がいい…!

弥五郎が親殺しの勘平に怒って斬りかかろうとするのを数右衛門が止めるなど、落ち着いた数右衛門と血気盛んな弥五郎がナイスコンビだった。

前からうすうす気づいてはいたけど、巳之助さんが出てくると胸が高鳴るし、気づいたら双眼鏡で追ってしまってる。

私、巳之助さんが好きなのか…

 

そして勘平の腹切…

私の観劇スケジュール(昼A夜B)的には勘九郎さんとの二度目の別れ。

知ってはいたけどつらかった…

ただ、同じ役者さんによる判官と勘平の演じ方の違いを観ることができたのはとてもよかった。

判官は一国の主として、威厳を保った切腹。妻や家臣への未練はあれど、とうに切腹を受け入れているという感じ。

勘平は、家族や亡き主君への申し訳なさ、それに皆から責められているいたたまれなさから勢いでしてしまった切腹という感じ。正式な手順を踏んだ切腹ではないから腹切(はらきり)というらしい。

 

この「勘平腹切の場」だけ事前に過去の公演の音源を聴いていて、そのときは数右衛門と弥五郎が「こりゃ勘平 早まったことを いたしたなあ」と言うのが随分と他人事なんだなと思った。2人が責めたから勘平切腹しちゃったんじゃないの?と。

ただ今回初めてこの場面を観て、この台詞がすごく自然な流れで発せられるものだったので印象が変わった。

勘平、その場の3人(数右衛門、弥五郎、おかや)に注目されてないタイミングでいきなり刃物突き刺したよね。

確かにあのまま進めば「切腹しろ」の流れになっていたかもしれないけど、まだその雰囲気ではなかったように私は感じた。

みんなびっくりしただろうな…

しかもよくよく確認したら勘平は無実。

そりゃ「早まったことを いたしたなあ」だよ…

 

苦しむ勘平に弥五郎が寄り添って体を支えたり乱れた髪をよけてあげたり、無実がわかったら数右衛門がさらさらっと連判状に名前書いて勘平が血判できるようにしてあげたり、一連の動作が流れるようだった。

武士はあまり感情をあらわにしないそうだけど、2人とも勘平のこと好きだったんだろうなというのがよく伝わってきてジンとした。

 

勘平が死の間際、うわごとのように「かる…かる…かるを頼みました…」と何度も繰り返していて号泣した。

この悲劇はまさに「色に耽ったばっかりに」起きてしまったことだけど、おかるを好きになったことは全く後悔していないんだ…

勘平、先にあの世へ行くことをおかるに申し訳ないと思ってそう。

自分がいなくなった後おかるがいい人見つけて幸せになってほしいとすら思ってそう。

それくらい、深い深い愛を感じる死に際だった。

 

それにしても、昨日まで家族4人で楽しく暮らしていたのに一晩で3人を失ったおかやさんがかわいそうでかわいそうで…

心配です。

 

七段目

祇園一力茶屋の場面。

ここで、本日初めての大星由良之助、片岡仁左衛門さんのご登場!

やっぱりすごい存在感はあれど、この場面では酔っ払いに擬態しているので気のいい関西のおじちゃんという風情。

それにしても由良之助、放蕩おやじのフリが異様に上手い。

3人の浪士と足軽の寺岡平右衛門(尾上松也さん)が仇討ちのことを聞きにくるけど全く相手にせず、浪士たちは怒って斬りかかろうとする。

え、刀抜いた!と驚いたけど、浪士たちはそもそも判官が切腹した時点で「城に立てこもって討死」を提案していたメンバーで、由良之助の一言があって仇討ちに舵を切ったのに、その由良之助がこんなでは…と怒るのもわかる。

由良之助の真意を知っている私ですら少しイラっとするほどの放蕩っぷりだったもん!それくらい上手いということだけど!

由良之助を斬ろうとする3人を必死で止める平右衛門がいちばん大人に見えた。

 

平右衛門、忠誠心が強くていいやつだ…!

酔って寝てしまった(フリをする)由良之助のために布団を用意してあげて。

絶対に由良之助を起こさないように気を遣いまくる(仲居さんの「あいあい〜!」には笑った)。

仇討ちに加わりたい旨を記した願書を由良之助の枕元に置いて、何度も弾き飛ばされるけどなかなか諦めない。

平右衛門の「自分、不器用なんでこの方法しか思いつきませんでした」みたいな真っ直ぐさに心打たれて、本当に仇討ちに加わりたいんだろうなというのがすごく伝わってきた。

松也さんいいなあ…

 

続いて由良之助の息子、紫色の頭巾をかぶった大星力弥が登場。

演じるのは尾上左近くん。

仁左衛門さんと左近くん2人きりの場面ということで勝手に緊張してしまったけど、左近くん堂々としてたなあ。

由良之助が想像以上に周りを警戒しながら密書を受け取っていて、改めて、仇討ちの計画は絶対にぜっっったいにバレてはいけないことなんだなと感じた。

茶屋の門を隔てて交わされる親子のやりとりがとても良かった。

つい大きくなってしまった力弥くんの声を由良之助が歌って(?)誤魔化すのが好き。

 

それから、あの有名な由良之助、おかる、斧九太夫片岡亀蔵さん)3人の場面。

念願叶って観られて嬉しかった〜!

まず大道具の構造がすごい。あんなに立体的なの、歌舞伎では初めて観たかもしれない。

座敷、縁の下、別棟の2階にいる3人が、三者三様の思いを持っているのもおもしろい。

七之助さん演じる遊女おかるの登場シーンは、ほんっとに美しかった。

ここまで腰元、女房と観てきたけど、やっぱり遊女として凛としている姿の色気は段違いだったなあ。

由良之助が読む密書を、盗み読みするおかると九太夫

このシーン、完全に無音になるから緊張感がすごかった…!

そしておかるが簪を落としてしまった音を合図に一気に物語が動き出す。

視覚的にもだけど、この場面は「音」を特に大事にしているように感じた。

 

遊女おかるは色気のある大人の女性だけど、兄の平右衛門と再会してからは一気にかわいくなる。

「妹おかる」という第4のお役出てきたかな?と思ってしまうくらい、拵えも全く変わっていないのにまるで別人のよう。

私は昼の部の感想として「七之助さんをいつも綺麗だとは思っているけど、今回初めてかわいいと思った」と書いているのだけど、この七段目は落人に輪をかけてかわいかった!

 

そんなおかると平右衛門の場面は、楽しさと悲しさの感情ジェットコースターだった。

家族の近況を尋ねるところ、おかるが恥ずかしがって勘平の名前をなかなか言えず、兄に「察してよ!」って怒るのがすごくかわいい。

でもその時点でお父さんも勘平も亡くなっているから、それを隠す平右衛門の表情がつらかった…

この場面、おかるから「勘平さんは?(元気?)」と問われた平右衛門は「勘平はやっぱり……勘平だ」と誤魔化す。

六段目で勘平が、家にいる見慣れない人たちのことを「あの人は誰?」と聞いたとき、おかやとおかるは「あの人はやっぱり……あの人だわいなあ」と誤魔化してた。

こういうやりとり、お家でよくしてたんだろうなあ。完全に親子だった! 

 

身請け話を聞いてすべてを察した平右衛門がおかるを斬ろうとする。

「ちゃんと説明するからこっち来て」の兄と「怖いから行きたくない」の妹のやりとり、ここが昼夜通していちばん気になった箇所。いい意味で。

古典には型というものがあるようだけど、この場面はある程度自由なの…?

「兄さん顔怖いからあっち向いてて💢」とわがまま風に言う妹(殺されかけてるので言う権利はあるけど)と、「わかった!あっち向いてるからな!」の素直で優しい兄。

仲良しの七之助さんと松也さん、普段の関係性が滲み出てるような仲良し兄妹のわちゃわちゃで楽しかった〜!

 

でも忠臣蔵、楽しい場面の後にはつらい場面がくるんだ…わかってるんだから…

と思ってたら案の定、平右衛門がおかるに父と夫の死を打ち明ける。

あまりのショックに気を失うおかる。そりゃそう、この人のためなら身を売ってもいいと思えた大好きな人がもうこの世にいないなんて…

やっと意識を取り戻したおかるが悲しみにくれるところは、また「美しい」ほうの七之助さんだったな。

途中で簪が落ちてしまうハプニングがあったけど、悲しみにくれるクドキの中でさりげなく拾って、簪も振りの小道具として使って(あまりに自然すぎて、SNSでこの投稿を見かけるまで意識してなかった)、さりげなく髪に戻した!

そりゃ七之助さんだもん、簪落としても心配無用なのはわかってたけど、予想の上をいくリカバーに感激してしまった。

 

ああそれにしても、おかるが死ななくて本当によかった。

もし平右衛門がおかるを殺して、そのうえ平右衛門も切腹となっていたら、おかや母さんの絶望たるや…

止めてくれた由良之助、本当にファインプレー。ありがとう!

おかるはお家に帰って、母娘ふたりで支え合って生きてほしい…!

 

十一段目

十一段目は、それまでの割と写実的な描写(個人の感想です)から打って変わってとても様式的で歌舞伎っぽいなと感じた。

雪に覆われた高家の門の前の場面。

映像含め忠臣蔵に触れずに育った私でもさすがに見覚えのある光景に、否が応でも「忠臣蔵だ…討ち入りだ…!」という気持ちになる。

加えて、由良之助が叩く陣太鼓の音が緊張感を高める。

 

場面変わり、高家の奥庭。

舞台に大量の雪が積もっていてすごい!

美しいし、役者の動きによって舞い上がる雪が、立廻りの激しさを強調してた。

竹森喜多八役の中村橋之助さんと小林平八郎役の中村萬太郎さんの見せ場!

立廻りかっこよかった~!

喜多八が橋から落ちてしまったとき(これも大道具がすごかった)は「そっかー…そりゃ1人くらい犠牲になる人もいるよね…」とすんなり受け入れてしまったけど、後から這い上がってきたのにはテンション上がった。

橋之助さん、耳に入った水を抜く動きしてた(笑)

これも決まったものなのかある程度自由なのか、兄妹のやり取りの次くらいに気になった箇所。

 

さらに場面変わり、炭部屋。

大鷲文吾(中村歌之助さん)たちが高家の家臣たちをささっとやっつけると、炭部屋の奥からあの憎き高師直が!

そして、判官の形見…

由良之助があの九寸五分で師直を刺し、首を取った…!

その瞬間、無念の死を遂げた勘九郎判官、それから名前は加えてもらえたけど仇討ちの現場に来ることはできなかった勘九郎勘平の顔が思い浮かんだ…

やったね、おめでとう!おめでとう…!

全員揃っての「えい、えい、おー!」は泣けたな…

 

「初見の感想を残す」がコンセプトなので素直に書いてしまうけど、本懐が随分あっさりだなとは思った。

この瞬間のために多くの人が2年近く頑張ってきた物語なのに、肝心の師直を討つところはこんな一瞬なのか…と。

仇討ちまでの人間模様や細かな心情の描写を楽しむ物語であって、仇討ちそのものはそこまで大事じゃないってことなのかな。

今後何度か観ることによって感想が変わるのかどうか、楽しみにしておこう。

 

浅葱幕の振りかぶせを初めて観て、かぶせるときはああいう感じなんだ!と楽しかった。

これでエンディングでもいいくらいの清々しさがあったけど、最後にもう一場、花水橋の場面。

橋の向こうから浪士全員が歩いてくる光景に、何とも言えない感慨があった。

みんな、本懐を遂げて嬉しさはあるだろうけどそれを内にグッと込めてる表情、ひとりひとりが亡き判官に「殿…やりました…」と報告してるような表情。

あの無言の登場場面、すごかった…

最後列にきちんと平右衛門がいるのも、当たり前なんだけど嬉しかった。

あれだけの人数が舞台上に揃っている迫力もすごくて、数えたらきちんと46人いた。いや、あの場面は47人いたよね…勘平!

 

そして、馬に乗って現れる服部逸郎役の尾上菊五郎さん。

菊五郎さん初めて拝見した。役柄も相まって神々しかった…!

旗本ではあるけど、浪士たちの気持ちをよくわかってくださる方なんだなあ。

 

力弥くんを先頭に花道の引っ込み。全員素晴らしかった…!

45番目の平右衛門は見得をして、盛大な拍手を受けて去っていく。

そして四十七士のラスト、由良之助。

舞台上に仁左衛門さんと菊五郎さん二人という状況がとんでもない奇跡のように思われて、とにかくこの目に焼き付けておこうと必死だった。

由良之助も、服部様に挨拶をしてから他の浪士たちの後に続き、割れんばかりの拍手を受けて判官の菩提寺に向けて旅立っていった。

十一段目 大星由良之助の衣装

素晴らしかった…!

言語化が難しいけど、いやレジェンド役者さんたちの演技のどこがすごいなんて言語化するものじゃない気がするけど、とにかくすごいものを観た…!という気持ち。

最後のお二人にかかわらず、素晴らしい配役でこの名作『仮名手本忠臣蔵』を、しかも通しで拝見できたこと、本当に最高の経験だったな。

もう一方の配役も気になるし(特に巳之助×時蔵兄妹みたかった)、今若い役者さんたちが将来忠臣蔵で大きなお役を勤める姿も観たい。

本当に素敵な作品に出会えてよかった!

 

おまけ

夜の部でもイヤホンガイドを借りて、幕間に放送される幸四郎さんの特別企画を聴きました。内容メモ。

  • 赤穂浪士の人数である「47」人。『仮名手本忠臣蔵』の「仮名」は、仮名47文字とかけられており、十一段目の討ち入りの場面では浪士たちがそれぞれ異なる仮名を身に着けている。
  • 仮名47文字を1回ずつ使ったいろは歌は、7文字ずつ区切って最後の文字を読むと「咎なくて死す」と読める。勘平の死は、ここから着想を得た…?
  • 文楽忠臣蔵が初演されたのは、赤穂事件(最初の刃傷事件)からちょうど47年後
  • 大序の幕開きに合わせて柝が打たれる回数も47回
  • 「末永く忠臣蔵、そして歌舞伎を愛してください」

以上!

もちろん末永く楽しませていただきます!幸四郎さんの忠臣蔵も観たいよ~!

 

この日のおやつ。切腹最中(抹茶味)